人が集い、家がまとう“音”、ケンウッドデザイン(1/2 ページ)
先週、東京・丸の内にあるケンウッドのショウルーム「ケンウッド スクエア・丸の内」で、ちょっと変わった展示会「Ohm Sweet Ohm」(オーム スイート オーム)が開催された。
「Ohm Sweet Ohm」は、ケンウッドの100%子会社であるケンウッドデザインが開発プロジェクトの成果を披露する場だ。ネーミングの由来は、電気抵抗を表す「Ω」(オーム)と“サウンドの波動”で、これを「Home Sweet Home」のHomeに置きかえた。展示されたのは、新しいホームオーディオを提案するという個性的な2つのワイヤレススピーカーだ。
人が集まるスピーカー「HIBACHI」
「HIBACHI」(ひばち)は、名前から想像できる通りの外観をしている。ほぼ原寸大の「火鉢」に3Wayのスピーカーユニットを組み込み、無線LANのレシーバーとバッテリーを内蔵した完全ワイヤレス仕様。少々重そうだが、無線の届く範囲なら持ち歩くこともできるレイアウトフリーのスピーカーに仕上げた。
アンプは20ワットで、内蔵バッテリーにより12時間程度の駆動が可能。店舗などに置いた場合でも、営業時間中は充電しないで済む計算だ。
しかし、なぜ火鉢なのか。
HIBACHIのデザインを担当した山本俊輔氏は、「従来のオーディオは、四角い形をしていて、正面から向かい合うのが当たり前でした。スイートスポットは狭く、あまり自由に楽しむことはできない」と話す。HIBACHIでは、純粋な音質より“音の広がり”を重視してラウンドフォルムを採用し、“床置き”することで、まるで火鉢の火にあたるように人が集まってくるスピーカーに仕上げたという。
「椅子や照明のようなインテリアオブジェ的な存在感を合わせ持ち、床に置いてあれば自然に人が集まってくるスピーカー。そこで始まるコミュニケーションもあるでしょう」(山本氏)。
HIBACHIは音質も悪くない。実は中に組み込まれたスピーカーユニットは、昨年末にケンウッドが発売した“大人向け”ハイグレードコンポ「K-series Esule」(エシュール)のもの。しかもキャビネット代わりの火鉢は、ABSを20ミリ厚まで積層して「かなりの物量がある」。バスレフポートから中を覗き込んでみると、空間もしっかりと確保されていた。
気がつくと、火にあたるようにHIBACHIを覗き込みながら話している。なるほど、「人を集めるデザイン」というのは本当だ。
デザインに注力した機器は、極力シンプルにして、その存在を消そうとする傾向がある。HIBACHIもシンプルなデザインは同じだが、普段はインテリアに溶け込みながらも、気づいた人は音の出所を確認せずにはいられなくなる点が異なる。そして音源を見つけると、人に教えたくなるのだ。
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