今回のテストは、我が家の自称「極小シアタールーム」で行った。広さは6畳ほどであるものの、スピーカー下の床を抜いて地面から直接重量ブロックを積み上げたり、両サイドの壁面に反響板を設置して音響特性を整えるなど、ホームシアター系のテストに適した環境を整えている。

今回の試聴環境。スピーカーはシアタールームを縦長に使い、フロントとサラウンドを部屋の四隅に、サラウンドバックは後方の収納スペースを使いさらに1メートルほど奥まった場所に設置した。音響的な有利さよりもスペース効率を重視したレイアウトを試みることで、各社の自動音場調整機能の実力をシビアにテストした。なお試聴位置をスクリーンからおおよそ3メートルほど離れた場所にすることで、各スピーカーの設置角度だけは理想的なサラウンドレイアウトに近くなるようひと工夫している。試聴用スピーカーはエラックの200ラインシリーズ(サブウーファーのみ新しい240ラインシリーズ)で統一した。このシリーズは、同社が「JET」と呼ぶ独特のスタイルを持つ平板ツイーターとパルプ/アルミのハイブリッド素材を採用する15センチウーファーによって構成される2ウェイモデル。メタリックな外観とコンパクトなサイズからは想像できないナチュラルで雄大なサウンドを奏でてくれる。
フロントスピーカーに使ったFS207Aは、ダブルウーファーを持つトールボーイスピーカーのアニバーサリーモデル。通常モデルの自然で伸びやかな音色をいかしつつ、解像度と音の深みがより高まったリアルサウンドを堪能させてくれる名機だ。再生帯域も幅広く、ホームシアターとしてだけでなく、ピュアオーディオとしても活用できる高い実力を持ち合わせている。
試しにセンター/サブウーファーレスのファントム再生をしてみたが、解像度はさすがにやや落ちるものの、強弱の豊かさ、サラウンド感、そして低音の力強さなどに関して、その価格やサイズからは望外のパフォーマンスを発揮してくれる。映画も音楽も存分に楽しませてくれた。これであったら、まずは4.0chシステムからスタートすることも可能だろう。サラウンドとピュアオーディオを共存させるには、ベストな選択肢のひとつといえる。
| 機材種別 | メーカー | 型番 |
|---|---|---|
| フロントスピーカー | エラック | FS207A |
| センタースピーカー | CC201.2 | |
| リアサラウンドスピーカー | BS203.2 | |
| サラウンドバックスピーカー | BS203.2 | |
| サブウーファー | SUB2060ESP | |
| プレーヤー | パイオニア | BDP-LX80 |
| ソニー・コンピュータエンタテインメント | プレイステーション3(HDD 20Gバイトモデル) | |
プレーヤーには、パイオニアのBlu-ray Discプレーヤー「BDP-LX80」とソニーのプレイステーション3をチョイス。BDP-LX80はマルチチャンネルPCM/ドルビーTrueHD/DTS HDマスターオーディオなどすべてのHDオーディオ規格のビットストリーム出力に対応、HDMI出力のほか、アナログ5.1ch、同軸/光デジタル出力も用意されている。音質に関しては相当に突き詰めた設計がなされており、特に同軸デジタルの出力は秀逸のひとこと。HDMIケーブルに加えて、CDなどのステレオ出力や既存フォーマット用に同軸デジタルケーブルの活用もお勧めする。
PS3は最新ゲーム機でありながらも、今やBD普及の鍵となっているのはご承知のとおり。ファームウェアのバージョンアップによってAV機能も充実しており、HDオーディオのビットストリーム出力をサポートするほか、SACDやCPRM対応DVD-VR記録の再生まで幅広く対応する。DTS HDマスターオーディオの出力をサポートしていないのが唯一残念なところ。
ケーブル類は接続タイプの違いによる音質比較をすることもあって、オーディオテクニカの高級モデル、「アートリンクSシリーズ」で統一した。ラインアップの都合上HDMIケーブルのみワングレード下のEシリーズとなっているが、同メーカーのケーブルだけあって特徴は近似しており、分かりやすい比較サンプルを得ることができた。
そのサウンドだが、さすがは高級モデルというべきか、付属するケーブル類とはクオリティーが格段に違う。解像度が高くきめ細やかで、録音された音を漏らさず確実に伝えてくれる。そのうえ余計なカラーレーションのないストレートな音色傾向によって、映画や音楽にとことん埋没できる点もうれしい。まさにHDオーディオ時代にはベストな選択肢といえる。
困ったことにデジタル信号、とくにHDMIは、ジッターをはじめとする諸問題によりケーブルの質でサウンドクオリティーが大きく左右される傾向がある。HDオーディオを存分に楽しむためにも、このシリーズのような、できるかぎり上質なケーブルの使用をお勧めする(長さもできるだけ短い方が望ましい)。
なお電源タップは、アルミ合金ボディ/OFCケーブル/ロジウムメッキプラグを採用するオーディオテクニカ「AT-PT707」を使用。電源まわりから来る外的な要因をできるかぎり排除してテストに臨んだ。
| 機材種別 | メーカー | 型番 |
|---|---|---|
| スピーカーケーブル | オーディオテクニカ | AT-SS2300 |
| HDMIケーブル | AT-EDH1000 | |
| デジタル同軸ケーブル | AT-SD2000 | |
| デジタル光ケーブル | AT-SDP2000 | |
| アナログケーブル | AT-SA2000 | |
| 電源タップ | AT-PT707 | |
| プロジェクター | 三洋電機 | LP-Z4(旧モデル) |
| スクリーン | キクチ科学研究所 | キクチホワイトマッドアドバンス(100インチ 16:9ワイド) |
| 視聴ディスク | メディア・フォーマット |
|---|---|
| ダイ・ハード4.0 | BD・DTS HDマスターオーディオ5.1ch |
| 300 | BD・リニアPCM5.1ch/ドルビーTrueHD5.1ch/ドルビーデジタル5.1ch |
| イノセンス | BD・リニアPCM7.1ch/DTS-ES6.1ch |
| パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールドエンド | BD・リニアPCM5.1ch/ドルビーデジタル5.1ch |
| アンジェラ・アキ「MY KEYS 2006 in 武道館」 | BD・リニアPCM2ch |
| Omar Hakim「Listen Up」(ステレオサウンド「2007 dts-HD Master Audio Presentation Disc」より) | BD・DTS HD Master Audio 7.1ch |
| Pat Metheny「Overture」(ステレオサウンド「2007 dts-HD Master Audio Presentation Disc」より) | BD・DTS HD Master Audio 7.1ch |
| Diana Krall「THE VERY BEST OF DIANA KRALL」 | CD |
| 小曽根真「フォーリング・イン・ラブ、アゲイン」 | CD |
| Yo-Yo Ma 「Plays the Music of John Williams」 | SACD |
| Norah Jones「COME AWAY WITH ME」 | SACD・5.1ch |
HDMI 1.3a対応のAVアンプ5製品を発表――デノン
デノン、HDMI 1.3a対応のハイエンドセパレートAVアンプ
デノン、HDオーディオのストリーム伝送に対応したBDプレーヤー
デノン、2.1chの一体型ホームシアター「Sシリーズ」をモデルチェンジCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR