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骨太サウンドが魅力――デノン「AVC-2808」HDMI 1.3a対応AVアンプレビュー特集(2/3 ページ)

» 2007年12月17日 11時53分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]

サウンドチェック

 視聴環境については次ページを参照して欲しいが、まずは結線したばかりのサウンドに驚いた。エラックスピーカーの各ユニットが生き生きと動き出し、これまで聴いた機種とはまったく違う鮮明な音色を奏でる。低音は力強く、高域はストレスのないのびのびとした音。音離れが良く、スピーカーの位置を全く感じさせない。素晴らしいサウンドだ。

 今回の試聴にエラック200ラインシリーズを選んだのには、それなりの理由がある。実はこのスピーカー、メタリックな外観からは想像できないナチュラルで端正なサウンドを持つうえ、駆動力(単純な定格出力では表現できないので、選択時には難しいポイントとなる)のあまりないパワーアンプでも変なクセを出さずウェルバランスなサウンドを聴かせてくれるため、こういったテストにはもってこいなのだ。

 しかしこのスピーカーには表の優等生ぶりに対し裏の意地悪な顔もあって、駆動力の高いアンプと組み合わせると生き生きとした音を奏でてくれる反面、解像度が極端に高いためアンプの解像度/強弱のきめ細やかさを的確に表現してしまう側面も持ち合わせている。そのポイントに見事はまったのがこのAVC-2808。まるで初めて起きあがったかのように、鮮明かつ豊かな抑揚を持つサウンドを聴かせてくれたのだ。

photophoto オンスクリーンメニューはいたってシンプル。英文だが慣れてしまえばそれほどとまどうことはないだろう

 だが、自動音場調整後のサウンドは少々やりすぎなイメージ。スピーカー間の音場統一は獲得できたものの、せっかくの駆動力がいかせず、さっきの音色はどこへやら。その後マニュアルによる操作をいくつか試みたところ、オデッセイEQをオフにするか、ピュアダイレクトモードにすると近い音に戻すことができた。

photo 「DENON」「AUDYSSEY」2つのロゴがプリントされた自動音場調整用の集音マイク。置いた場所の反響音の影響を避けるためか、背が高くなっている

 この傾向を考えると、自動音場調整機能は補助的に活用する程度に留め、昔ながらのアナログ的な処方でスピーカーの設置場所をじっくり吟味する必要がありそうだ。しかしその結果あれだけのサウンドを得られるのであれば、その苦労も充分に報われると思う。

 ちなみに音色の傾向としては、音楽ジャンルとしてはジャズやロック。映画ではアクション系が好ましいと感じた。ロック/ジャズのライブビデオは最高のグルーヴ感を堪能できた。

お勧めしたいユーザー

 選択の基準は単純。デノンならではの、骨格のしっかりした力強いサウンドが好みに合うか否かだ。ただこのAVC-2808の場合は、この価格帯のAVアンプとしては類を見ない駆動力という大きな魅力もある。もし使おうと考えているスピーカーが、クセの強い、もしくはヌケの悪い「素行は悪いけど魅力的な」存在であれば、こちらを最有力候補として考えるべき。本製品でもダメだったらひとつうえのAVC-3808、それでもだめだったら、あとは各メーカーのフラッグシップモデルしか選択の余地は残されていない。それほどに、パワーアンプ部の実力が高い機種だと断言しよう。

photophoto リモコンは質感も良く上品な印象。美しいグリーンブルーのELモニターは、使い勝手のうえでも大変役に立つ

 遠回しな表現になってしまったが、結論としてはライブビデオやアクション映画を中心に見る人、そして愛用のスピーカーが大パワーのアンプでないと元気が出ないのでAVアンプの購入に躊躇している人などにお勧めしよう。

AVC-2808 主要スペック --
HDMI入力 2
HDMI出力 1
アナログ音声入力 10
PHONO端子
iPod端子
別売iPodドック ○(リモコン付)
USB端子 ×
iLINK端子 ×
LAN端子 ×
自動音場調整機能 ○(モノラル)
パワーアンプ 定格110ワット×7
サイズ 434(幅)×171(高さ)×420(奥行き)ミリ
重量 13キロ

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