今冬商戦にあわせ各社から投入されたHDMI 1.3a対応AVアンプはドルビー True HDやDTS-HD マスターオーディオといったHDオーディオに対応しており、Blu-ray Disc/HD DVDソフトの高レベルなサウンドを余すことなくの楽しめる存在だ。ハイビジョン時代のAVシステムのコアとなる存在だけに、多くのAVファンが登場を待ちこがれていただろうし、どの機種を購入しようか大いに悩んでいる最中だろう。
そういった人々の指標となるべく、今回は実力/価格の両面から注目機がそろう実売10〜20万円クラスから注目の機種をピックアップ。デノン「AVC-2808」に続く今回は、マランツ「SR7002」を取りあげる。
マランツ「SR7002」は、全5モデルという豊富なラインアップを誇る同社AVアンプのなかではちょうど真ん中。ミドルクラスという呼び方がピッタリの1台。実売価格も12万円を切る程度と、HDMI 1.3a対応AVアンプの中では入手しやすい。とはいってもさすがに10万円超のプライスタグが付けられているだけあって、機能/性能面の抜かりはない。
DSPを活用した自動音場調整機能を始め、フロントスピーカーのバイアンプ駆動に対応する110ワット×7chのパワーアンプ、すべてのアナログビデオ入力信号に対してHDMI出力とI/P変換処理を可能とする「フル・アップ・ビデオ・コンバージョン」、シーラスロジック製192kHz/24bit ADCとDACの採用、アナログオーディオ基板のセパレート化など、上位機種と共通する多数の機能が盛り込まれている。
ほぼ同時期に発売された上位モデル「SR8002」と比べても、スペックを見る限りでは内部構成はほぼ同じとなっているようだ。違いは筐体や電源部、アンプのパワーくらい。これでSR8002より定価ベースで7万円安とはお買い得というしかない。
スペック的にはお買い得感たっぷりのSR7002だが、実際の使い勝手はどうだろう。
外観はシリーズ共通のシンプルなデザイン。マランツといえば上質感あふれるデザインを思い浮かべるのだが、AVアンプだけはなぜか素っ気ない。ヘアライン仕上げの明るいゴールドのフロントパネル、ブルーイルミネーションを配された大きめのダイヤル、ホワイトの文字が上品なインフォメーションパネルなど、ひとつひとつをピックアップしていくとなかなかの質感なのだが、全体をあわせるとなぜか没個性に見えてしまう。
このあたりはもう少しこだわりを見せて欲しいところだが、マランツのミドルクラスはどれも似たようなデザインを採用する傾向があるので、もしかするとあえて目立たない=接続機器との協調性を重視したデザインなのかもしれない。そう考えると、このシンプルさがかえって意義あるものに見えてくる。このあたりは好みの問題なので、どう思えるかは店頭の実機で確認して欲しい。
外観で特筆すべきは、その奥行きの短さだ。AVアンプは多様な機能を盛り込まれているため大きくなりがち。しかも近年は「薄型」がひとつのトレンドなので、薄くなった分、どうしても奥行き方向に長くなり、ラックによっては収まりきらず少々手前に飛びだしてしまったり、ガラス戸が閉まらないといった事態も起こっている。しかし、SR7002は奥行き寸法を396ミリと40センチ以下に納めているのでそういった心配は皆無。うれしい配慮だ。
SR7002にはこの価格帯の製品としては異例の特典が2つある。1つはHDMI出力端子が2系統あること。常時出力できるのはそのうち1系統のみで、別の部屋で同じ映像を同時に見るという使い方はできないが、薄型テレビとプロジェクターを共存させている環境などではケーブルを差し替える必要がなくなるのでとても重宝する。
もう1つはリモコンが2つ標準添付されていること。普段はシンプルなリモコン、設定を変えるときなどには学習機能付きのフルリモコンを使えば、操作時のストレスをほとんど感じないはずだ。
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