さて、このようにAVアンプとしての能力を追求すると同時に、ピュアオーディオ用パワーアンプ、マルチメディアセンターユニットとしての実力も付加されているDSP-AX3800。実際のサウンドとユーザビリティーはどれほどのものだろう。まずは付属マイクを使った自動音場調機能を行いつつ、ユーザビリティーのチェックを行った。
操作のわかりやすさという点では他を圧倒する。オンスクリーンメニューが日本語化されているうえ、メニュー体型も分かりやすく整理されているので、操作にとまどうことは一切ない。自動音場調整の実行やその後の微調整もスムーズに行えた。実際、取扱説明書を見なくてもすべての操作が行えたのはこの機種だけ。多機能さを誇るAVアンプにとって、これは驚くべき優秀さだ。同社エンジニアの努力に敬意を表したい。
フロントパネルはボタンがすっきりと整理されていて好印象。詳細な操作ボタンはカバーのなかに配置され、表に出ているのは電源とインプットセレクター、ボリューム、ピュアダイレクトボタンのみ。このようなシンプルな構成であれば、室内を暗くしたホームシアター試聴中でも操作を誤ることはない。ピュアダイレクトボタンをオンにするとブルーのLEDが光り輝くのも心憎い演出だ。
もちろんリモコンの操作性も良好。ボタン数は多いが的確なレイアウトとボタン形状で、手探りでも操作を誤ることはほとんどなかった。唯一残念だったのは、比較的ボタンの背が高いためか感触がチープだったこと。質感よりも機能性を選んだ印象だ。
ユーザビリティーに関して文句のない本製品だが、最大の特徴であるCINEMA DSP Plusの“3Dモード”が唯一の難関になる点だけは注意したい。この機能を発揮するためには、同社がプレゼンススピーカーと呼ぶ、フロントエフェクトスピーカーを導入した9.1chものシステムが必要条件となるのだ。環境と予算が許されればよし、そうでない場合は涙を呑んで5.1chシステムのまま使い続けるか、下位モデル「DSP-AX1800」をもう1つの選択肢として考えるべきだろう。
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