各社HDMI 1.3a対応AVアンプのなかでも、実力派がそろう実売10〜20万円クラスに注目するこの企画。これまでにデノン「AVC-2808」、マランツ「SR7002」、オンキョー「TX-SA805」、ソニー「TA-DA5300ES」のサウンドとユーザビリティーについて、その両面から実力をチェックした。今回はそのDSPに熱心なファンも多い、ヤマハの「DSP-AX3800」を取りあげる。
ヤマハ「DSP-AX3800」は、同社ラインアップのなかでフラッグシップの「DSP-Z11」に次ぐ上級機。価格も25万7250円と、10〜20万円クラスのなかではトップエンドに位置する1台だ。「準フラッグシップ」的な存在だけあって、音響にまつわるシステムや機能など、各方面に充実した内容を持ち合わせている。
まず目にとまるのが、ヤマハ独自のサラウンド機能「CINEMA DSP Plus」に追加された“3Dモード”。この新しいシステムは、これまでの音量/時間軸の調整によって実現していたサラウンド空間に、高さ方向の音場データをプラス。ホールやライブハウスなど、天井や床の反射音によって生まれる上下方向のグルーヴ感までも再現できるようになったほか、映画再生においては空間再現力を飛躍的に向上させているという。
こういった独自のサラウンド機能と同時に、ソフト本来のサウンドをストレートに伝えることに関しても細やかな配慮がなされている。アナログ部とデジタル部、電源部それぞれを分離したボディ構造や、試聴テストを繰り返し厳選したカスタムメイドの高品位パーツなどを採用することで、基本的なサウンドクオリティーをグレードアップ。また、SACDのDSD信号やBlu-ray Disc/HD DVDのマルチチャンネルPCM/ドルビー TrueHD/DTS-HDマスターオーディオなどにも対応したピュアダイレクトモードを採用。このモードの利用時には使用しない回路への電源供給をカットすることで、より鮮度の高いサウンドを実現している。
これまでデジタル系の音声信号に対して「ダイレクトモード」を用意する機種はいくつか存在したが、それらは単にDSPをパススルーするだけのものががほとんどだったし、HDMIを活用するHDオーディオにはいっさい対応していなかった。そういった部分で、DSP-AX3800のピュアダイレクトモードは充分に「使える」機能だ。
さらにAVアンプというよりも、AVターミナルと呼ぶにふさわしい豊富な入力系統を持つことも本製品の素晴らしいアドバンテージ。省略されがちなPHONO端子に加え、USB端子やiPodドック端子、LAN端子なども用意。アナログレコードからWebラジオまで、新旧さまざまな種類のソースに幅広く対応している。
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