各社から登場しているHDMI 1.3a対応AVアンプのなかでも、実力派がそろう実売10〜20万円クラスに注目するこの企画。ここまではデノン「AVC-2808」とマランツ「SR7002」のサウンドとユーザビリティーについて、その両面から実力をチェックした。今回はオンキョー「TX-SA805」を取りあげる。
オンキョー「TX-SA805」は、HDMI 1.3a対応のAVアンプとして最も登場が早く(発売日は2007年6月19日)、「世界初」を名乗って登場した1台だ。もともと同社は、THX認定を得た「TX-NA1000」を1994年に「世界初」として投入しており、ことAVアンプに関しては、常に最先端をアグレッシブに突き進む姿勢を見せている。
現在同社は「インテグラ」シリーズを含めて全11モデルのAVアンプを用意しているが、そのほとんどがすでにHDMI1.3a対応を果たしており、だてに一番乗りはしていない充実したラインアップを誇っている。そのなかにあって、このTX-SA805は価格的にも中核を担う製品といえ、かなり力の入った存在となっている。
DTS-HDマスターオーディオやドルビー TrueHDなどのHDオーディオフォーマットに加えて、地上デジタル放送のAAC 5.1chなどにもしっかり対応しており、THXに関しても、ホームシアター向け規格の最上位にあたる「THX Ultra2」の認定を獲得している。
力のいれようは、その内部を詳しく見ていくとより鮮明となる。プリアンプ/パワーアンプの完全ブロック化をはじめ、シンメトリーレイアウトされた7chパワーアンプ、一般的な2段ではなく3段構成とした出力段、内部振動を抑えるサブシャーシ構造など、まるでピュアオーディオ用上級パワーアンプのような作りを採用している。
加えてバーブラウン製 192kHz/24bit DAC×5やテキサスインスツルメンツ製 32bit DSP×3、ファロージャー製輪郭補正回路「DCDi」といったパーツを厳選して搭載。さらに5ミリ秒ステップのリップシンク機能や、最高8ポイントでの測定を活用することでより正確な設定が可能な自動音場調整機能「Audyssey MultEQ XT」などを装備しており、これらの相乗効果によって、上質なサラウンド空間を実現する。
落ち着いた色調のシルバーゴールドともいうべきフロントパネルは、横幅一杯にまで広げられたグレートーンのインフォメーションパネルの艶やかさと相まって、かなり和風なイメージ。一見すると派手な印象を持つかもしれないが、室内環境との調和に優れ、存在感はしっかり主張しつつも浮き上がってしまうことはない。さりげなく見せびらかす、という奥ゆかしい(?)日本人にはピッタリの意匠かもしれない。
フロントは下1/3がカバーに覆われているのにもかかわらず、ソースセレクトがダイヤル式ではないため、パネルにはズラリとボタンが並ぶ。かなり小さめのボタンとなっているためうるさい感じはしないが、操作性はあまりよろしくない。ソフト視聴時に手探りで操作するのはほぼ無理で、部屋が明るいときでも近づいて操作しないと間違った選択をしてしまう。
こういったものは慣れだという話もあるし、映像ファンがよく使いそうな「DVD」「VCR」は左端に、音楽ファンがよく使いそうな「PHONO」「CD」は右端にレイアウトされるなど、よく考えられてはいるので使い続けていくうちにそこそこ慣れるだろう。残念ながら僕はいつまでたっても間違えてしまいそうだが。
オンスクリーンメニューは、英語ながらもメニュー構成がシンプルでとても分かりやすかった。希望の項目を探しだすのにほとんど迷うことがないため、新しい操作のたびに取扱説明書を引っ張り出さなくてすむ。また集音マイクを差し込むだけで自動的に音場調整メニューが立ち上がるので、こちらの操作も簡単に行えた。こういったユーザーに対する配慮が充実しているあたりは、うれしいポイントだ。
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