CESに関連した次世代光ディスクの報道では、フォーマット戦争がBDの勝利で終わりそうだとの情報で埋め尽くされている。しかし、実際の取材現場におけるBD関係者の反応はひじょうに冷静なものだ。フォーマット戦争に勝ったと胸を叩いて強さを誇示するのではなく、むしろ安堵の空気と今後のBD普及に向け、何を考えるべきなのかといった前向きな発言が多い。
Blu-ray Disc Association(BDA)の北米におけるプロモーショングループでチェアマンを務めるパイオニアのアンディ・パーソンズ氏に、ここ数日の激しい動きと今後の活動について話をうかがった。
――ワーナーがHD DVDの新規タイトルを6月以降は発売しないと発表しましたが、このニュースをどのように受け止めましたか?
パーソンズ氏: 我々にとって、もっとも印象的だったのは、ワーナーが”消費者が明確にBDを選択した”と発表したことでした。今後、”DVDの次のフォーマットは何なのか?”といったことを気にせず、BDを選択していただける環境ができたことは、消費者にとっても、そしてもちろん、BDAにとっても良い話です。
――個人的には、これほど長い間、BDとHD DVDに関する取材を続けることになるとは思っていませんでした。しかし、振り返ってみると“フォーマット戦争”と言えるようなことは、ほとんどなかったのでは。昨年末に本格的にビジネスが開始された頃には、BDの弱点はほとんどすべてが解決され、それ以前にさかのぼっても有望性はBDの方が上でした。アンディさん自身、”フォーマット戦争といったものはあった”と感じていますか?
パーソンズ氏: それは興味深い視点です。BDAに参加している企業も、そして東芝も、技術企業です。技術によって製品を生み出し、生活を豊かにすることを目標にしています。そうした意味では、東芝は彼らが信じることに従って、彼ら独自の技術開発を行ってHD DVD事業を進めてきたのでしょう。HDTVの普及に伴って、パッケージ販売される光ディスクもHDになっていく。そのために最良のフォーマットを作ろうとしてきたのは、BDAも東芝も同じだったと思います。ただ、大変に残念なことですが、東芝は我々の開発してきたBDという技術に合意できなかったということです。
私は個人的に、東芝も技術イノベーションを起こそうと開発の努力をしていたと思います。そうした意味では、目標とするところは全く同じで、(外から見ていた印象とは異なり)”戦争”といった表現のことは最初から無かったのかもしれません。
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