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パナソニックが語る“フォーマット競争後”のBD戦略2008 International CES:本田雅一のリアルタイム・アナリシス(1/2 ページ)

» 2008年01月12日 21時51分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 ソニーとともにBD事業の立ち上げに腐心してきた松下電器産業(10月1日付けでパナソニックに社名変更予定)。HD DVDとのフォーマット戦争終結に向けた道筋がハッキリと見えてきた今回の「2008 International CES」後、同社のBD事業はどのような方向に向かうのか。松下電器産業・役員の津賀一宏氏に話を訊いた。

photo 松下電器産業・役員の津賀一宏氏

 津賀氏は2年前「国内でフォーマット戦争はない」と言い切っていたが、昨年末はその言葉通りの展開になった。一方、北米市場もワーナー・ホーム・ビデオの発表を受けてBDへの流れがハッキリとし、その行方はすでに決まったかのようだ。

 では、津賀氏はワーナーの発表をどのように受け止めたのか。

 「今回の発表は事前に情報を全く持っておらず、非常に驚きました。BDの優位性に関しては、実際のソフトウェアのセールスも、容量などスペックの面でも自信を持っていますが、いくつかの映画スタジオは特殊な事情から、市場で主流ではない規格のみでしかソフトウェアを発売していません。それだけに、東芝は非常に競争力の高いタイトルを揃えるワーナーと強力な関係を築いているかもしれない。この部分は全く読めません。ソニー・ピクチャーズはもちろん、ディズニー、20世紀フォックスといったスタジオは、BDの共同プロモーションに彼ら自身の予算を割いているほどで、BDのみにソフトを供給している映画スタジオの動向は一貫しています」

 「このため、ワーナーがどのような判断を下すのか、さまざまな状況を想定し、各シチューエーションで松下電器がどのように動くべきかを考えていました。1つは昨年通り2つのフォーマットで出し続けること。この場合は、北米でのフォーマット戦争は長引きます。次にワーナーがHD DVDに一本化される最悪のケース。可能性は低いと思っていましたが、全くゼロとは言い切れません。最良のシナリオは、ワーナーがBDのみにタイトルを供給するようになることです。この場合、約8割のハリウッドコンテンツがBDで提供できるようになります。そうなれば、フォーマット戦争の終わりに向かうだろうと考えてきました」

 一方、津賀氏は一貫して「日本市場ではフォーマット戦争はない」と主張してきたが、日本市場に対して北米市場が与える影響をどのように見ているのだろう。

 「日本はレコーダー市場なので、ここで戦争はありませんでした。しかし、懸念事項として北米でフォーマット戦争がある限り、日本でも買ってもらえないのでは? という不安は確かにありました。その不安もワーナーの発表で払拭されました。フォーマット戦争が終わったとは言いませんが、これで懸念が大幅に小さくなったことは間違いありません。映画スタジオがどのフォーマットをサポートするかは、われわれがコントロールできる問題ではありませんから」

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