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BD版「オペラ座の怪人」をデノン「A1HD」で聴きたい!山本浩司の「アレを観るならぜひコレで! 」Vol.6(2/3 ページ)

» 2008年01月23日 19時59分 公開
[山本浩司,ITmedia]

 このセパレート・システムは、AVアンプではたいへん珍しく、本格的なバランス回路構成が採られている。AVP-A1HDは、オペアンプで反転させて簡単に組んでしまうことの多いバランス出力回路をディスクリートで構成しているのである。

photophoto 「AVP-A1HD」(左)と「POA-A1HD」(右)の背面端子。その数にワクワクさせられる

 バランス伝送とは、プラスとマイナスの信号ラインをアース回路から独立させて送る方式。通常3端子を持ったキャノンコネクターが使われる。RCAピンコネクターが使われる一般的なアンバランス伝送は、マイナス・ラインにアース回路を重畳させて送る方式。バランス伝送は外来ノイズに強く、それぞれのラインの歪みを打ち消すことができる。確かに、本機をバランス/アンバランス接続で聴き比べてみると、確かにS/N感と音の実体感で前者のよさを実感できる。

 そんなわけで、ぼくがこのシステムを使うならリスニングポイントの手前にAVP-A1HDをセット、長めのバランス・ケーブルを使ってPOA-A1HDをフロントスピーカーの近傍に置き、自分の好きな音のよいスピーカーケーブルを思い切り短くしてつなぐだろう。

 AVコントロールアンプのAVP-A1HDの質量は36キロ。パワーアンプを積んでいないのに、この重さである。以前、一体型AVアンプからパワーアンプ部をごっそり取り出してセパレート化していたモデルが他社から出ていたこともあるが、これはそんなものじゃないんである。内部を吟味すると、ビデオ回路用にプラス・マイナスで別にトランスを設ける等、計7個もの電源トランスを積んでいるのが分かる。本機の物量投入の凄さがこの一例でもおわかりいただけるのではないだろうか。ちなみに10chパワーアンプのPOA-A1HDは60キロである。

 いきなり枝葉末節の解説が長くなってしまったが、そんなところでもぼくたちマニアを思わずコーフンさせてしまう魅力を持っているんですね、このセパレート・システムは。

BD版「オペラ座の怪人」の聴きどころ

photo 「オペラ座の怪人」(BD版)は4935円で販売中。片面2層約143分。販売元はギャガ・コミュニケーションズ(c)2004 Scion Films Phantom Production Partnership.

 このセパレートAVアンプで、絶対聴いて(観て)みたいのが、昨年の暮れ、12月21日にギャガ・コミュニケーションズから発売されたBDソフト「オペラ座の怪人」である。

 一昨年の秋に、本作の米国盤HD DVDを入手、クリスチーヌ役の主演女優エミー・ロッサムの清らかな美しさにヤラれ、この1年半、幾度となく観返していた作品なのだが、1つだけこの米国盤HD DVDには不満があった。

 それは、収録されているドルビーTrue HD音声の録音レベルが著しく低いこと。アンプのボリュームをフルテンにしても、広い部屋だと音圧がまだ物足りないという感じなのである。ほぼ最初期のHDオーディオ収録作品ということで、制作サイドにも混乱があったのだろう。ドルビーが指定したヘッドルーム・マージンの取り方の解釈を間違えたのではないかと勝手に推察していたのだが……。

� 晴れて2層50Gバイトで制作された日本盤BD「オペラ座の怪人」、音声は48kHz/16ビットのリニアPCMとドルビーTrue HDの5.1ch/HDオーディオが2音声収録されている。それがどちらも適正レベルで記録されており、米国盤HD DVDに比べて、格段にダイナミックなサウンドが楽しめるのだ。うれしい。

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