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BD勝利の勢いに乗れるか?――日立の2代目BDカム「DZ-BD9H」レビュー(3/4 ページ)

» 2008年02月22日 08時30分 公開
[浅井研二,ITmedia]

「すっきり」さが際立つ一方、「くっきり」とは……

 液晶モニタは「DZ-BD7H」から明るさが1.4倍向上とのことだが、それでも見栄えは決してよくない。サイズと画素数に関しては同一スペックの、キヤノン「iVIS HF10」やソニー「HDR-UX20」の液晶モニタと比べても、明るさ、解像感ともに劣っており、撮影中には「ビデオカメラの撮影品質自体に問題があるのでは……」と不安を感じたほどだ。

 しかし、テレビに接続して視聴すると、意外にすっきりとした映像を見せてくれ、発色も(ニュートラルとはいえないものの)決して悪くはない。内蔵モニタで見た場合とはかなりの差があるので、店頭などで撮影画質を確かめたい場合には注意が必要だろう。ただ、全体には確かに“すっきり”しているのだが、細部に目をやると(撮影性能のせいか圧縮アルゴリズムのせいかは分からないが)やや平板な映像にまとめられている。

photo レンズカバーは内蔵式で電源と連動して自動的に開閉するが、「ディスクナビゲーション」を利用中に閉じることはなく、開いたままとなる

 同じ日時・場所で撮影したパナソニック「HDC-HS9」(レビュー)の撮影映像と比較すると、ノイズは抑えられているものの、その分、ディティールも失われているという印象だ。また、手持ちでのズーム撮影時には、手ブレ補正の利きがいま一歩なうえ、圧縮の影響も相まってか、画面全体が揺れるような絵になってしまう。

photophoto マニュアルでのフォーカス、露出、逆光補正は本体側面のボタンで実行。プログラムAE(ポートレート/スポットライト/サーフ&スノー/ローライト)の選択や、ホワイトバランスモード(オート/セット/屋外/屋内/蛍光灯)の選択にはメニュー画面を利用する(左)、撮影時に「フォーカス」「露出」「逆光補正」ボタンを押すと、画面上にフォーカスアイコン、露出バーなどが表示され、ジョイスティックの左右で調整を行える(右)

 この「DZ-BD9H」は本体サイズに余裕があり、しかも、最も先進的な記録メディアを採用しているだけに、撮影性能や記録性能には期待してしまいがちだが、現状ではまだこなれていないといわざるをえない。これまで紹介してきたコンパクトタイプのカメラと比べても、正直なところ、明確に上回っているという部分は少ないだろう。

 ただ、容量や再生互換性において、BDというメディア自体の利点はもちろんある。特に、PCとの接続に頼ることなく、ビデオカメラ(およびBDレコーダー/プレーヤー)のみですべてを完結させたいというユーザーにとっては、候補の1つとして検討してもいい製品といえるだろう。

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