操作は「HDR-UX20」などの同社製ビデオカメラと同じくタッチパネル方式を採用。電源スイッチは動画記録/静止画記録のモード切り替えも兼ねており、記録先メディアの切り替えは、ホームメニューのメディア管理タブにある「動画メディア設定」「静止画メディア設定」であらかじめ行っておく。
この製品はハイビジョン画質での動画撮影だけでなく、スタンダード画質(MPEG-2)での動画撮影、さらには静止画撮影に関しても、記録メディアは制限されない。そのため、動画メディア設定は「HD HDD」「SD HDD」「HDメモリースティック」「SDメモリースティック」、静止画メディア設定は「HDD」「メモリースティック」という選択肢となる。
幅に余裕がある分、本体手前のスタート/ストップボタンなどは操作しやすく、また、ズームレバーは軽い感触ながらも、操作への手応えはしっかりと感じられる。手ブレ補正の効きのよさもあいまって、安定した撮影が可能だ。本体前面の「CAM CTRL」ダイヤルは「HDR-UX7」と同じタイプで、「フォーカス」「カメラ明るさ」「AEシフト」「WBソフト」のいずれかを割り当てて、マニュアル調整を行える。
液晶モニタを開いた側面部分には、「再生」「ワンタッチディスク」「EASY」「画面表示/バッテリーインフォ」ボタン、「NIGHTSHOT ON/OFF」スイッチを配置。さらに、液晶モニタの左には「ホーム」ボタンに加え、撮影時に左手で操作できるよう、「W/T(ズーム)」と「スタート/ストップ」ボタンも装備している。
記録メディアをHDDに設定した場合の全体的な動作速度は、内蔵メモリ使用時の「HDR-UX20」と比較すると若干遅いかもしれないという程度。
通常起動にかかる時間は6秒で、動画撮影/静止画撮影のモード切り替えは2.5秒(ともにHDD記録にしている場合)、終了時間は2秒程度となる。HDD全体の初期化には20秒程度必要だが、最高品質のFHモードでも14時間40分(SR11でも7時間10分)もの撮影が可能なため、利用する機会は少ないだろう。再生時の早送り/早戻しも、「HDR-UX20」のメモリ使用時と同じく、4段階(5倍速/10倍/30倍速/60倍速)に対応している。
録画モードはFH(16Mbps)/HQ(9Mbps)/SP(7Mbps)/LP(5Mbps)の4種類が用意されており、記録解像度はFHのみが1920×1080ピクセル、それ以外は1440×1080ピクセルだ。「HDR-UX20」と同じというわけだが、撮影時の有効画素数が増しているだけに、FHモードの優位性はより増している。
キヤノン「iVIS HF10」(レビュー)やパナソニック「HDC-HS9」(レビュー)のようなコントラストの立った派手な映像では決してなく、一見すると地味な絵づくりにも感じるが、細部まで丁寧に描かれており、なにより階調表現がしっかりとしている。不自然なノイズや輪郭部分のにじみなどもほぼ見受けられない。
また、静止画撮影では3680×2760ピクセル(つまり、1000万画素相当)の画像を記録可能だ。もちろん、あくまでも“1000万画素相当”であり、撮像素子が持つ本来の有効画素数は556万画素だが、無理やりに解像度を上げたという性質の絵にはとどまっておらず、見た目にも描写力は十分に感じられる。もちろん、完全にスチルカメラの代替にも使えるとは言い切れないものの、大容量HDDへの記録が可能という利点もあいまって、ビデオカメラの静止画撮影性能としての実用度は極めて高いといっていいだろう。
これまでのソニー製AVCHDハンディカムは、ラインアップこそ豊富だったものの、個人的にはどこか中途半端な印象を抱いていた。実際のところ、メモリースティックのみの対応とすることでコンパクトさを追求した「HDR-CX7」はともかく、HDDやDVDを採用した「HDR-SR7/SR8」「HDR-UX7」は、製品としての位置づけがいまいち不明確だったのではなかろうか。
しかし、今回新たに登場した「HDR-UX20」と「HDR-SR11/SR12」は、「顔キメビデオ」「クイックオン」といった共通の新機能を導入したうえで、各々にまったく別の魅力を持つ製品に仕上がった。とりわけ、今回紹介した「HDR-SR11/SR12」は、従来モデルよりも撮影性能が大幅に向上している。さらに、奥行きが約1センチ短くなったことは、持ち運び、および、撮影時の使い勝手のよさに貢献しており、わずかな変化ながら、実は意外に大きな“改良点”なのではなかろうかとも思う。
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