3番目はスマイルシャッター。スマイルシャッター自体はW170が初搭載の機能ではないが、笑顔の状態がバーで表示されることや、スマイルシャッターモードの中で「感度」をすぐ設定できる点が大きく違う。2007年秋モデルでは感度を変更するのにいちいち環境設定へ行かねばならなかったからだ。
この笑顔の状態がバーグラフで表示されるのは面白い。「笑顔度」がどこまで伸びたらシャッターが切れるかもこのグラフで分かるのだ。
また「おとな優先」と「こども優先」の選択が可能になった。これで子どもの笑顔を撮りたいときに使える。ちなみに精度はというと、少なくとも、幼稚園児と母親は完璧に区別してくれた。
この機能は顔に向けてシャッターを切ると、あとは自動的に笑顔を判断して何枚も撮ってくれるので、笑顔の瞬間を撮りたいとき、セルフタイマー的に使いたいとき、何枚も撮りたいときなどにけっこう実用的だし、撮っていてなかなか楽しい。実用的でなおかつ楽しい機能というのは流行しそうである。
顔認識系の充実は再生機能でも活用されている。再生時に「子どもの顔だけ検索」「笑顔の写真だけ検索」なんてこともできるのである。
ほかにも設定できる項目がほとんどなくてほぼ全自動で使える、機械が苦手な人のための「イージーモード」、感度を最高ISO3200まで上げてくれる「高感度モード」、といった各種のシーンモードも用意されている。
W170の特徴的な機能を中心に述べてきたが、普通のコンパクトデジカメとして見ても、手ブレ補正機構のついた広角系5倍ズームは非常に魅力的だし、ISO3200まで撮れるのも何かとありがたい。
ボディサイズも同じ広角系の「IXY Digital 910IS」とほとんど変わらない(910ISの方が凹凸がない滑らかなデザインなので小さく感じるけれども)ので、気軽に持ち歩ける実用性の高いデジカメだ。
基本的に「オートで賢く撮る」系の設計なのでマニュアル機能はあまり充実してない。よって、いいレンズを使った高画質なデジカメ、あるいはマニュアル系機能が充実した絵作りを楽しめるデジカメを求めているのなら、他の製品をあたった方がいい。露出補正もISO感度設定もいちいちメニューを開く必要があるのだ。
逆に、面倒なセッティングはしたくない、微妙な調整は最新デジタル技術おまかせしたい人用のオート系デジカメとしてはすごく優秀だ。オート・高感度・スマイルシャッターをダイヤルでさっと使い分けてやれば、W170ならではの撮影を楽しめる。とくに「おまかせシーン認識アドバンス」はよい。特に失敗しやすい逆光系のシーンを結構フォローしてくれるのは素晴らしい。
もちろん細かい不満もある。肝心の顔認識の速さや精度には改善の余地があるだろう。具体的には顔を見つけるのがちょっと遅かったり、角度や髪型によって認識しづらかったりすること。特に子どもはすぐあらぬ方向を向いたりするので、少しでも早くつかまえて欲しいし、横顔でも見つけてもらえるとうれしい。それに、顔認識に限らず全体にもうちょっとキビキビ動いてもらいたいという気はする。
だが、人を撮る機能・見る機能が非常に充実しており、子どもにしろ恋人にしろ友達にしろ、人を撮るには最高に楽しいカメラに仕上がってるのは確か。被写体と一緒に撮影を楽しめるコミュニケーション系デジカメという方向はアリである。
特にスマイルシャッターはわいわい楽しむにはもってこい。三脚にカメラをセットしてスマイルシャッターモードにして、みんなでカメラの前で大騒ぎすると、たぶん面白い顔が勝手に写されて楽しいし、広角系なのも大勢を写すには向いてる。
それに、何人かに試してみたところ、スマイルシャッターだというと面白がって笑顔を作ってくれるようなのだ。だから険悪なムードになっても、スマイルシャッターをダシに無理やり笑顔を作らせれば、そこで一気に仲直りの友好的写真……となる……かもしれない。
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