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» 2008年03月14日 12時37分 公開

れこめんどDVD:「インベージョン」(Blu-ray Disc)DVDレビュー(2/2 ページ)

[飯塚克味,ITmedia]
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美の象徴、ニコールがあんなことを……

 BDディスクは片面1層(25Gバイト)、ビスタサイズでの収録。映像の圧縮方式はVC-1。音声は英語をドルビーTrueHD 5.1chと通常のドルビーデジタルで、日本語吹替はドルビーデジタル5.1chのみとなっている。

 必要以上に色彩がきつく感じられないのはオリバー監督の好みだろう。過去作を振り返っても極めてナチュラルな絵づくりにこだわっており、過度な演出で見せるよりは役者の芝居で世界観を構築するタイプだ。本作はそんな監督にとってハリウッド進出第1作にあたるわけだが、これまでどおりのスタイルを貫いているのはさすがと称えたい。

 なかでも宇宙生命体に乗っ取られた人が、細菌を移すための手段として相手にゲロ(のようなもの)を口からかけてくるのがキモくて怖い。もちろん主役のニコールもこの儀式につき合わされている。美の象徴とも言えるニコールに汚らしいゲロを降りかけるなんて、ハリウッド出身の監督なら萎縮してしまいそうだが、これに応えたニコールも凄い。知人がこの場面を見て日本のカルト監督、井口昇監督の諸作を連想したそうだが、それも納得のグロ描写となっている。

 音声に関してはもちろんロスレスの方が精密かつ厚みがあって、映画の魅力を感じさせてくれる。吹替えも聞きやすく、ある程度映画馴れした子供と見るならぜひ勧めたい。因みにダニエル・クレイグの声は「007/カジノ・ロワイヤル」の時と同じく小杉十郎太が担当している。

 視聴はプレイステーション3とパナソニック「DMR-BW900」からヤマハのAVアンプ「DSP-AX4600」をHDMIで経由し、映像は42インチのプラズマと液晶プロジェクターによる100インチのスクリーン再生で行った。誠に申し訳ないのだが、筆者のシステムはまだ次世代音声フォーマットに対応していない。よってドルビーTrueHDはリニアPCMに変換した5.1chでの視聴だったことをご了承願いたい。

HD映像でもニコールのお肌は美しかった

 CH-1ではいきなり本筋の部分が描かれる。眠ってはいけないと焦りまくるキャロル。薬を集め、糖分を取らねばと炭酸飲料をラッパ飲み。場所もどこだか不明だが、「M:i:III」のオープニングと同じく、物語の確信をいきなり提示する演出はなかなかに衝撃的で引きずり込まれるものがある。

 それにしてもどんな場面でもニコール・キッドマンの肌は美しい。もう40歳のはずなので、お肌の曲がり角はとっくに過ぎていると思うのだが(失礼!)、ハイビジョン画質でもほれぼれするほどの美しさを保ち続けるのは別な意味でホラーかもしれない。

 CH-2ではスペースシャトルの墜落からその影響までが小気味よく描かれる。ニュース映像をフラッシュ的に盛り込み、現実感をうまく映画に与えている。

 CH-3はキャロルの日常描写。バツイチ&子持ちで頑張っているものの、料理はなんだかおいしそうに見えないのがちょっとおかしい。その日はハロウィンで子供を連れて外に出かけるのだが、息子の扮装は、本作の製作元であるワーナーが権利を所有する“スーパーマン”。息子の友人に他社作品である“ダース・ベイダー”の格好をさせているところに微妙な政治背景も感じられる。

 CH-4ではキャロルの元に患者ウェンディーが診察にやってくる場面。この役は、ずいぶん年をとったが「エイリアン」でシガニー・ウィーバーと共演したヴェロニカ・カートライトが演じている。夫が変ぼうしまったことを切々と訴えるが、キャロルにとってはいつものことにしか思えない。処方せんを渡し、お引取り願う。ウェンディーが身につけているアクセサリーのインパクトはDVDだと見逃しがちだが、ちょっと個性が感じられ面白いので、興味のある方はよく見てもらいたいところだ。

カーチェイスのサラウンドは立体感あり

 この後、徐々に街は感情を失った人々であふれ返っていくのだが、多数派だったはずの自分が瞬く間に少数派に転じていく様子が丁寧に描かれ、ラストまで緊張感が持続する。問題のゲロかけシーンはCH-13。一瞬眠りに陥って顔にネバネバした薄皮のようなものが出てくるのはCH-22で見ることができる。いずれもニコールの女優魂が感じることができるので、ファンの方はチェックしてもらいたい。

 CH-24からのクライマックスではヘリやカーチェイスのサラウンドが立体感をよく出している。エンディングに関してはいろいろな意見があるだろうが、ぜひ自身の目で確認してもらいた。人が人でいるために必要な人間性とは何なのか? 本作の提示はあまりにブラックだが否定もできないはずだ。

特典もHD収録

 特典は各3分程度の短いメイキングが3種。そして科学者や研究者が本作のテーマについて語る「現実社会に潜む恐怖と“インベージョン”」と題した20分弱のドキュメンタリーを収録している。いずれもハイビジョン収録なのがありがたいところ。

 「潜水艦映画にハズレなし」とは映画界でよく言われることわざのようなものだが、「盗まれた街」の映画化にもハズレがないと言えるだろう。恐らくまた10数年後にやってくるかもしれない5回目のリメイクも心待ちにしたいと思えた。

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