音に関してはさすがというべき。なかでも一体化サラウンドシステムであることを忘れてしまいそうな、充実したサラウンドフィールドは特筆ものだ。前方はもちろん、真横から後方に関してもしっかりと音のベールを作り上げていて、無数のスピーカーに囲まれているかのように感じる。今回の特集では計4モデルを試聴したが、ここまでサラウンド感を作り上げているのはRHT-S10のみである。
細かい調整を行わず、ポンと置いただけでこの音が出るのは驚き。5.1chサラウンドの映画ソフトなどをよく見る人は、迫力あるサラウンドを存分に堪能できるだろう。
音質的な面でも良好さを感じることができた。5センチフルレンジという小口径ゆえの中域の弱さは隠しようがないが、それをカバーするように音の通りが良く、セリフも明瞭だ。低音にも充分な迫力があり、システムとしてのまとまりはかなり高いと感じた。いっぽうでリニアPCM 5.1ch/7.1ch対応であることも音質のさらなる向上に貢献している。ドルビーデジタルとは一線を画す高音質を遜色なく再生できることもあって、映画や音楽ソフトなどでは自然で迫力あるサウンドを楽しむことができる。HDMIならではのメリットを、利便性だけでなく音質的にも充分感じさせてくれる製品だ。
サラウンドモード別の傾向としては、シネマは“包まれ感”が完璧なものの、高音が強調されがち。スタンダードは逆に包まれ感が弱まるが音は自然だ。ニュースは人の声がより明瞭に聞こえるといった印象か。どれも基本的なバランスはは整っているので、映画だからといって「必ずシネマ」にする必要はなく、あくまでも好み似合ったタイプを選んで間違いない。ちなみに僕は、映画も音楽ソフトも、スタンダードモードで再生することが多かった。
HDオーディオには対応していないが、一体型システムでハリウッド映画の迫力サラウンドを存分に堪能したいという人にはベストの選択だ。包まれ感、ダイナミック感ともに文句はない。またPS3でBDソフトを楽しみ始めている人も、RHT-S10は見逃せない存在だと思う。
現在、BRAVIAシリーズを所有している人もこちらを第1候補に考えていい。BRAVIAリンクの利便性からデザイン的な統一感まで、さまざまなメリットを享受できるからだ。また一体化サラウンドシステムは、お手軽エントリーモデルと捉えられがちだが、実際に音を聞くとそうしたイメージは払拭される。
今回の試聴には、ソニーの「KDL-40W5000」および「プレイステーション3」を使用した。またケーブル類は、不慮の画像/音質劣化を防止するため、オーディオテクニカの「アートリンクSシリーズ」光デジタルケーブルと「アートリンクEシリーズ」HDMIケーブルをチョイス。また電源タップもアルミ合金ボディ/OFCケーブル/ロジウムメッキプラグを採用するオーディオテクニカ「AT-PT707」を使い、万全を期している。
機材 | 型番 | メーカー | 価格 |
---|---|---|---|
液晶テレビ | KDL-40W5000 | ソニー | オープン価格 |
BDプレーヤー | プレイステーション3(20Gバイトモデル) | ソニー | 4万4980円 |
HDMIケーブル | AT-EDH1000/1.3 | オーディオテクニカ | 2万3625円 |
デジタル光ケーブル | AT-SDP2000/1.3 | オーディオテクニカ | 1万8900円 |
アナログケーブル | AT-SA2000/1.3 | オーディオテクニカ | 1万8900円 |
電源タップ | AT-PT707 | オーディオテクニカ | オープン価格 |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR