　20V型前後の液晶テレビは、ここ1～2年で大きく変わった。リビングルームの大画面テレビ需要とは別に、個室に置くいわゆる“2台目需要”が盛り上がり、メーカー各社が力を入れ始めたからだ。事実、JEITA（社団法人電子情報技術産業協会）が発表した2008年2月の民生用電子機器国内出荷実績では、“29型以下”の液晶テレビが前年比177.6％（26万9000台）と、もっとも高い伸び率を示している。


	2月実績	前年比	1～2月累計実績	1～2月累計の前年比
液晶テレビ29型以下	26万9000台	177.6％	43万7000台	168.6％
液晶テレビ30～36型	18万9000台	134.7％	33万台	132.7％
液晶テレビ37型以上	14万2000台	134.8％	25万8000台	137.7％
プラズマテレビ43型以下	6万3000台	140.1％	10万1000台	123％
プラズマテレビ44型以上	7万台	87.3％	13万台	89.9％

JEITA「2008年2月国内出荷実績」による

　機能の底上げが進んでいることも見逃せない。サイズとしてはエントリー機と位置づけられる20V型前後のテレビでも、デジタル3波チューナー（地上、BS、110度CS）を搭載するのは今や当たり前。今年の新製品ではさらに、複数のHDMI端子を搭載してリンク機能にも対応するというのがトレンドだ。

　なにより、家族でシェアするリビング用のテレビと異なり、パーソナルサイズのテレビは個人の趣味が反映させやすい。このためカラーバリエーションや特徴的なデザインなど、新しいスタイルを提案する製品が増えている。

　ちょっと前までの“安く買える薄型テレビ”というイメージは影を潜め、機能・外観ともに洗練されてきた小型の液晶テレビ。メーカーごとに新製品の特徴を紹介していこう。

異なるテイストの2機種――ソニー

　ソニーは、2月下旬に発表した新BRAVIAシリーズが店頭に並び始める時期だ。20V型でいえば、3月20日発売の「KDL-20J1」、25日発売の「KDL-20M1」が入荷しはじめた頃である。

J1シリーズ（左）とM1シリーズ。どちらも20V型を用意しているが、J1シリーズは32、26、20というラインアップのもっとも小さいモデルで、M1（20、16V型）は逆に大きいほうのモデルにあたる

　どちらも液晶パネルの下に空間を持たせるなど「フローティングデザイン」の特徴を持つスタイリッシュモデルだが、デザインの方向性が完全に異なっていて面白い。J1は直線的なシルエットを持ち、M1は曲線的で全体的に柔らかい印象だ。とくにM1シリーズのポップなスタイルと豊富なカラーバリエーションは、女性層を主なターゲットにしたもの。さらにソニーの直販サイト「ソニースタイル」や「e-Sony Shop」では、M1のベゼルとループ部分の色をチョイスできる「スペシャルカラーエディション」を用意している。

　M1に関しては別途レビューを掲載する予定だが、サイズが小さいからといって機能面の妥協はしていない。デジタル3波対応チューナーや映像エンジン「ブラビアエンジン2」を搭載し、HDMI端子は2系統を装備。「ブラビアリンク」には対応していないものの、電源のオン／オフや入力切替といったHDMI CECの基本的な連動機能は利用できる。つまり、ブラビアリンク対応テレビを他社製のレコーダーと組み合わせた場合と同レベルの利便性を確保している。

　また、DLNAガイドライン準拠のネットワークプレーヤー機能「ソニールームリンク」を搭載している点にも注目したい。ルームリンクは、PCや対応するDVDレコーダーにネットワーク経由で接続し、録画した番組や画像、音楽などをテレビで再生するというもの。リビングルームのテレビが家族に占有されていても、録画番組を自室で観ることができる。


メーカー	ソニー
製品名	KDL-20J1	KDL-20M1
画面サイズ（解像度）	20V型（1366×768ピクセル）
チューナー	地上デジタル、BSデジタル、CS110度デジタル、地上アナログ
HDMI入力（リンク機能）	2（ブラビアリンクのリンクメニュー対応）	2（電源連動などが可能）
そのほかの入出力端子	D5×2、ビデオ入力3（うち1つにS端子）、デジタル放送／ビデオ出力、D-Sub 15ピン、光デジタル音声出力、イーサネット
外形寸法	511×396×211ミリ	529×396×169ミリ
重量	7.2キログラム	7.4キログラム
カラーバリエーション	ブラック、レッド、ホワイト、ブラウン	シルバー、ブラック、ピンク、ブルー、オレンジ、グリーン