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超高画質を求める人向けの個性派デジカメ――シグマ「DP1」レビュー(3/6 ページ)

» 2008年03月31日 08時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

コンデジっぽい操作性

 DP1を使う人が不満を感じそうなのは、たぶん、その操作系だろう。とてもコンデジ的で、デジタル一眼レフを使い慣れた手にはもどかしい。

 起動は実測で約3秒。コンデジより遅め。電源を押すと「うにーっ」とレンズが出てきて液晶モニターが点灯する。液晶モニターは2.5インチ。さほど高品質ではなく、視野角もさほど広くないのは残念。

上から撮影。上部には電源、モードダイヤル、シャッターがある(左)。操作部をアップで。アクセサリシューには別売りの光学ファインダーを装着。右下に見えるダイヤルはマニュアルフォーカス用。左上にはフラッシュのポップアップスイッチがある。ポップアップは手動(右)
背面のインタフェースを。ズームはデジタルズームや再生時の拡大用。露出補正はボタンを押してから左右のキーで、それ以外のパラメータもMENUと十字キーでセットする。電子ダイヤルがないのは残念(左)。背面から。画面はマニュアルフォーカス時のもの。液晶パネルが4:3で撮影画像は3:2なので、一番下の余白に露出を表示してくれる(右)

 操作はほとんどがメニュー+十字キー。ボディに唯一搭載されているダイヤルは「MF用」だ。ダイヤルには0.3から∞まで目盛が降られていて、ダイレクトに撮影距離に直結する。それはそれでいいのだが、それよりは露出制御用電子ダイヤルを付けてくれよ、と思う。

メニュー表示は簡素。ISO感度、ホワイトバランス、測光モードなどがある(左)。これは2ページ目。AFエリア選択が2ページ目にあるのはちょっと面倒。結局AFエリアを中央に固定してAFロックを使って撮ることになるだろう(右)
ISO感度は100から800まで1段刻み(左)、ホワイトバランスはこれらの他、ワンプッシュ設定も可能(右)

 露出補正は露出補正ボタンで露出補正モードにしてから左右の十字キー、絞り優先時の絞りも左右の十字キーである。ISO感度やホワイトバランスはメニューキーでメニューを表示させ、十字キーの上下で項目を選んで……という手順になる。

 DP1でイメージ通りのカットを撮りたい人は(たぶん、DP1を買うのはそういう人だ)ホワイトバランス(WB)は自分でセットしたいし、マメに露出補正したいと思うわけで、最近のハイエンドコンデジはISO感度やWB、露出補正といったよく使う項目はすぐアクセスできるよう工夫されていることを考えると、残念である。

 せめて、GRのようにズームキー(DP1は単焦点でデジタルズームもこれを使うような人は使わないだろうから)を露出補正に割り当てられるとか。

 もうひとつ、撮影間隔はやや長め。RAWにしろJPEGにしろ、シャッターを切ってから次の撮影が可能になるまで5秒ほどかかる。気軽にパシャパシャ撮るカメラではないのだ。

バッテリーは専用のリチウムイオン充電池。メディアはSDメモリーカード

RAWでじっくり撮って仕上げる超高画質コンパクト機

 つまるところ、DP1は下手なデジタル一眼レフよりいい絵が撮れるけれども、下手なハイエンドコンデジより操作性がイマイチ、というなんとも極端なカメラなのだ、と思う。DP1にコンパクトカメラの機動力や軽快さを求めるならお薦めしない。おそらく、不満の方が多くなるだろう。

 DP1が出す絵にほれ込んだ人なら多少使い勝手が悪くても、サブ機として買って損はないし、むしろ積極的に手に取ってみてほしい。現在、もっとも手軽に楽しめるFOVEON X3搭載カメラなのだ。別売りのフードアダプターも忘れずに。光学ファインダーは好きずきで。

 アンバランスなカメラではあるが、そのアンバランスさもまた味のひとつと思えてくるかも。

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