DP1を使う人が不満を感じそうなのは、たぶん、その操作系だろう。とてもコンデジ的で、デジタル一眼レフを使い慣れた手にはもどかしい。
起動は実測で約3秒。コンデジより遅め。電源を押すと「うにーっ」とレンズが出てきて液晶モニターが点灯する。液晶モニターは2.5インチ。さほど高品質ではなく、視野角もさほど広くないのは残念。
操作はほとんどがメニュー+十字キー。ボディに唯一搭載されているダイヤルは「MF用」だ。ダイヤルには0.3から∞まで目盛が降られていて、ダイレクトに撮影距離に直結する。それはそれでいいのだが、それよりは露出制御用電子ダイヤルを付けてくれよ、と思う。
露出補正は露出補正ボタンで露出補正モードにしてから左右の十字キー、絞り優先時の絞りも左右の十字キーである。ISO感度やホワイトバランスはメニューキーでメニューを表示させ、十字キーの上下で項目を選んで……という手順になる。
DP1でイメージ通りのカットを撮りたい人は(たぶん、DP1を買うのはそういう人だ)ホワイトバランス(WB)は自分でセットしたいし、マメに露出補正したいと思うわけで、最近のハイエンドコンデジはISO感度やWB、露出補正といったよく使う項目はすぐアクセスできるよう工夫されていることを考えると、残念である。
せめて、GRのようにズームキー(DP1は単焦点でデジタルズームもこれを使うような人は使わないだろうから)を露出補正に割り当てられるとか。
もうひとつ、撮影間隔はやや長め。RAWにしろJPEGにしろ、シャッターを切ってから次の撮影が可能になるまで5秒ほどかかる。気軽にパシャパシャ撮るカメラではないのだ。
つまるところ、DP1は下手なデジタル一眼レフよりいい絵が撮れるけれども、下手なハイエンドコンデジより操作性がイマイチ、というなんとも極端なカメラなのだ、と思う。DP1にコンパクトカメラの機動力や軽快さを求めるならお薦めしない。おそらく、不満の方が多くなるだろう。
DP1が出す絵にほれ込んだ人なら多少使い勝手が悪くても、サブ機として買って損はないし、むしろ積極的に手に取ってみてほしい。現在、もっとも手軽に楽しめるFOVEON X3搭載カメラなのだ。別売りのフードアダプターも忘れずに。光学ファインダーは好きずきで。
アンバランスなカメラではあるが、そのアンバランスさもまた味のひとつと思えてくるかも。
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