ITmedia NEWS >

一瞬を切り取る超高速連写デジカメ――カシオ「EX-F1」レビュー(1/8 ページ)

» 2008年04月09日 15時33分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
かなり大ぶりなボディのカシオ計算機“EXILIM PRO”「EX-F1」。グリップがしっかりしているし、アクセサリシューも搭載している。

 今、一番話題のデジカメである。ちょっとデカくて高いけど「EX-F1」でしか撮れない絵や動画がある。それがメチャクチャ面白い。面白いけど上手に撮るのは難しい。その辺がまた挑戦してみたい気にさせてくれる。

 実売価格で10万円以上するけれども、何しろ世界にただひとつのカメラである。ほんの10年近く前は200万画素のコンパクトデジカメが10万円近くしてたことを思えば……高くもない……いや、いまやデジタル一眼レフがレンズ込みでも10万円以下で買えることを思えば……高いか。

 価格の評価はもう人それぞれだけど、内容的には10万円以上払うだけの価値は間違いなくあると思う。

 何しろ、搭載する有効600万画素CCDをフルに使った秒60コマのフルサイズ連写機能と、秒300コマの「ハイスピード動画」(秒1200コマまでいけるけど、そうすると画像サイズが極端に小さくなるので、秒300コマと考えておくのが無難)が撮れるのである。

 ハイスピード動画は512×384ピクセルで秒300コマ。それが秒30コマの動画として記録される。1秒の動画を10秒かけて再生するわけで、10倍の超スローモーションが楽しめる。

 つまり、肉眼では一瞬で終わっちゃうシーンを撮れるのだ。

 まずはこれを見てほしい。

コサギが小魚を捕って水気を切ってぱくっと食べる瞬間を秒300コマのハイスピードムービーで。クリックすると動画再生(.MOV形式)

 サギは川で魚を捕って食べる、は肉眼でも分かるけど、実は水気を軽く切ってからパクッと上手に飲み込むなんて肉眼ではなかなか認識できない。こんな動画を撮れるのである。

ソニー製の新型CMOSセンサーを採用した初のモデル

 はじまりは2006年初頭。ソニーが超高速CMOSセンサーを発表した時点にさかのぼる。1/1.8インチの600万画素ながら、秒60枚の超高速撮影ができることから、これが搭載されたらどんなデジカメになるのだろう、と話題になったのだ。それが製品化され、最初に搭載したのがこの「EX-F1」なのである。

 EX-F1はこのCMOSセンサーありき、と考えていい。たぶん、この超高速CMOSセンサーを使ったら「こんなことができそう」というアイデアが詰まっている。それを実際にどう使うかは買った皆さんがそれぞれ考えてね、って感じの製品だ。そういうのを工夫して使いこなすのが好きな人にはたまらない。

正面から。大きなレンズに高さを抑えたボディになっているのが分かる(左)。付属のフードを装着。小さめのデジタル一眼レフに標準ズームレンズを装着した状態と同じか大きいくらいになる。重さは本体のみで約671グラム(右)

 やはり超高速連写を楽しむには動物やスポーツだろうってことで、レンズは12倍ズームの望遠レンズ。

 35ミリ換算36〜432ミリ相当で、明るさはF2.7〜4.8。撮像素子が1/1.8インチなのでボディはかなり大きめ。小さめの一眼レフと変わらない……どころか大きいくらい。ただレンズの全長は固定なので、鏡胴が伸びたりはしない。

 手ブレ補正は撮像素子シフト式を採用。

 撮影最短距離は5センチだがこれはワイド端のみで、ちょっとズーミングするとすぐ最短撮影距離も伸びる。まあ、マクロ向きのカメラではない。遠くのものをでかく撮るのがメインなのである。

 ISO感度は100〜1600。シャッタースピードは最高で1/2000秒だが、撮影モードによっては(シャッタースピード優先やマニュアル露出時)1/40000秒までいける(電子シャッター使用)。

       1|2|3|4|5|6|7|8 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.