逆にムーブアウト連写は被写体がフレームから外れたときに自動連写してくれる。ただ、こちらはフレーム内に被写体があると判断されないとスタートしてくれない。
この2つはいわゆる「オートシャッター」機能。もはや、構図だけ決めれば自分でシャッターを押さなくてもいい、という世界である。
超高速連写するし、大量に画像を保存するし、オートシャッターもあるし、となると気になるのがバッテリーの保ち。
バッテリーは7.4V/1950mAhという超巨大なもの。ちなみにハイエンドコンデジであるPowershot G9で7.4V/720mAh、中級一眼レフのニコンのD300でも7.4V/1500mAhだからすごく大容量だ。
よって、普通に使う分にはバッテリの保ちはすごくいい(CIPA規格で約520枚)。ただし、超高速連写で撮った絵を再生してチェックするとか、やたらパスト連写するとか、ムーブイン・ムーブアウト連写で待ち時間が長かったりと、何かとバッテリを浪費する使い方をしがちなカメラなので、実際の持ちは使い方次第だ。
EX-F1の超高速連写と超望遠を楽しむには三脚が欲しいところ。三脚と付属のリモートレリーズとclass6以上の高速&大容量のSDメモリーカードがあれば、じっくりとEX-F1ならではの写真を撮れるだろう。
決定的瞬間を狙うにはパスト連写が一番だ。ムーブイン・ムーブアウトは動きを予測して待ちかまえないといけないので、なかなか大変。
いずれにせよ、EX-F1ならではの撮影のコツがある。それを身につけ、自分の生活や趣味の中でこのカメラでしか撮れないシーンがあるならば、10万円を超える実売価格もちっとも高くない。たぶん、超高速CMOSセンサーが高価なだけでなく、それに見合った高速な内部処理や熱対策なども必要になるので、全体としてこの価格にならざるを得なかったのだと好意的に解釈している。
EX-F1は道楽のデジカメである。だから高速連写が面白いと思わない人は、もっと安い望遠デジカメはいくらでもあるので、手を出す必要はない。
カメラとしては欠点もあるけれども……ワイド端でフラッシュがケラれるとか、EVFが見にくいとか……それを考慮してもEX-F1の楽しさは変わらないだろう。高価ででかいサブカメラと思うべし。
今回は自分の身近な被写体ということで、野鳥や猫を中心に狙ってみた。被写体に集中して一瞬を自分の手でつかむ、という今までの撮影経験が過去のものになりそうで寂しい気もするが、まあ、技術の進歩は往々にしてそんな寂しさを伴うものだ。
PC上の画像ブラウザも重要だ。連写した一連の画像を「スタック」としてまとめられる機能があるといい。
それにしてもこの超高速センサーは面白い。将来的には画質も上がるだろうし、高速なメディアが出てくれば操作は快適になるだろう。動きを止める以外でも、高速連写した絵を内部で処理することでいろんな写真を撮れるようになりそうだ。例えば、超高速でWBや露出などを変えながら連写して、一番よく撮れているものを選んで保存とか(スーパーブラケットみたいな感じで)、連写した中で一番ブレていないものを自動的に選んでくれるとか、そんな「おまかせ」的な機能も将来は実現されるだろう。
デジカメ界の将来が楽しみである。
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