移動中でも外出先でも、周りの音に煩わされることなく快適に音楽を楽しむ――。iPodをはじめとするデジタルオーディオプレーヤーの普及もあり、ノイズキャンセリングヘッドフォン/イヤフォンは市場でもある程度の存在感を得ているようだ。
ソニーの「MDR-D500D」もそうしたノイズキャンセリングヘッドフォンのひとつ。同社は約1年前に“騒音を約1/6に低減”をうたうMDR-NC60を投入しているが、新製品ではさらに改良を進め、処理をフルデジタル化することで騒音カット能力を“約99%低減と高めたほか、音質の向上も果たしたという。
“99%カット”の秘密を開発陣に尋ねた。
「実は15年前にデジタル化の試作は完了していたのです」(角田氏)
フルデジタル処理のノイズキャンセリングヘッドフォンは本製品が世界初となるが、その基礎は15年前に完成していた。ただ、装置のサイズも消費電力も大きなものであり、とてもヘッドフォンに利用できるシロモノではなかったという。また、ノイズキャンセルについても、今ほどの大きな効果を得ることができなかった。
15年の月日を経て回路の集積化も進むと同時にソフト面も改良されていき、2年ほど前には「ノイズキャンセリングヘッドフォン」としての商品化のめどがつくまでに至った。しかしデジタル化はノイズ低減を突き詰めるためではなく、音質の向上が最大の目的だった。
「MDR-NC50やMDR-NC60を投入した後にも、ノイズキャンセルの性能を高めたいというのはもちろんですが、音質を高めたいという思いがありました」(角田氏)
そのためにMDR-NC500Dでは、ヘッドフォン自体としてはアウトドアで利用するため外の音圧に負けないよう低音を上げるセッティングとし、そこにデジタルイコライザーで補正を行い、トータルとしてフラットな、自然な音を作りだしている。
「簡単なようにも聞こえますが、MDR-NC500Dという製品に結実するまでには多くの困難が伴いました。精密な補正を行おうとすればするほど回路は大型化し、消費電力も増大します。また、回路から発生するノイズも大きくなってしまいます。そうした課題を乗り越えるまでにはかなりの苦労がありましたね」(水内氏)
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