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「99%騒音カット」の秘密インタビュー(3/3 ページ)

» 2008年04月18日 16時20分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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追求した「自然さ」「軽量化」

 音響設計を担当した角田氏が最も気に掛けていた「音質」。MDR-NC500Dはどのような音の方向性を目指して作られたのか。

 「これはソニー製ヘッドフォン全般に共通しますが、目指したのは音楽的にバランスがとれており、人間の声がきちんと聞こえる“ニュートラルな音”です。MDR-NC500Dは外出先でも使われる製品ですが、“普通の音”“ナチュラルな音”が鳴るようにしたかったのです」(角田氏)

 人間が音を知覚する際、音量から受ける印象は想像以上に大きい。同じヘッドフォン・同じ音量であっても、静かな室内とにぎやかな街中、利用する場所が違えば印象は異なる。にぎやかな店頭で試用して購入したヘッドフォンを静かな自宅で利用すると、「何か違う」と感じた経験を持つ人もいるのではないだろうか。

 MDR-NC500Dはこうした音量差に起因する印象の違いも、使用される環境をある程度想定し、静かでない環境でも自然な聞こえ方となるように設計されている。「自然さ、ナチュラルさを指向すると同時に、外出先で音量を少しぐらい上げても、あまり受ける印象が変わらないようにしています」(角田氏)

 製品を実際に装着してみると、密閉型ながらも思いのほか柔らかな装着感であることに驚かされる。重量はMDR-NC60が約230グラムであるのに対して約195グラムとなっているが、実はデジタル化のためにノイズキャンセルの回路自体は大型化している。それらの軽量化は、電源の変更(単四形乾電池からリチウムイオン充電池へ)をはじめ、QUALIA 010よりも薄い0.6ミリの超薄マグネシウムハウジングやヘッドバンドの金属部分を超超ジュラルミンとするなど、素材の吟味を積み重ねることで達成されている。

photophoto 0.6ミリの超薄マグネシウムハウジング(左)、超超ジュラルミンを採用したヘッドバンド(右)

 「音響的な理由や必要とされる強度ももちろんありますが、“いかに製品として軽くできるか”を突き詰めた結果です。デジタルの初製品ですし、妥協なしのハイエンドといえます」(水内氏)


 世界初のデジタルノイズキャンセリングヘッドフォンとして登場した「MDR-NC500D」。“妥協なしのハイエンド”と水内氏も語るよう、そのノイズキャンセル性能、音質、装着性、すべてにおいて高次元でまとめ上げられた製品といえる。デジタルノイズキャンセル技術は今後、どのような製品展開を目指すのだろうか。

 「ノイズキャンセル機能のデジタル化というのは避けられない潮流なのですが、まだウォークマンやカナル型イヤフォンへ搭載するには回路のサイズが大きすぎます。回路の小型化・省電力化を愚直に続けていくしかないでしょうね。同時に低価格化も課題としてトライしていきたいです。ソフトで機能や設定を変更できることもデジタル化の恩恵ですが、その部分も煮詰めていく必要があると感じています」(角田氏)

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