かつてほどは対立的な構図で語られなくなってきた気はするが、一般ユーザーの視点からするとウォークマンとiPodのライバル関係はいまだに非常に興味深い。ポータブルオーディオとしては前者が大先輩だが、現在では後者が非常に高い支持を得ていることは異論ないところだろう。
もちろん、ソニーも手をこまねいているわけではなく、これまでにもHDDタイプ/フラッシュメモリタイプの各種ウォークマンを投入してきた。なかでもフラッシュメモリを搭載するスリムな“ウォークマンスティック”(2005年3月発売 NW-E400/E500系)は大きなヒットとなった。
ただ“鉛筆より薄い”スリムさで登場したiPod nano(2005年9月発売)がまたたく間に高い人気を集めたこともあり、現在のところポータブルオーディオといえば「フラッシュメモリタイプのiPod」が定番となった感もある。実際、gfkマーケティングの9月10日〜16日の機種別販売数ランキングでは、昨日販売開始されたばかりの新型iPod nanoがいきなり1位、2位に躍り出ている。
前置きが長くなった。ソニーが10月20日より販売開始する「NW-S710F/S610Fシリーズ」はカードタイプのボディに最大8Gバイトのフラッシュメモリを搭載、動画再生機能も備えるなどその特徴がiPod nanoと重複する部分も多い製品。今回はノイズキャンセル機能を搭載する上位モデルNW-S710Fシリーズから、メモリ容量2Gバイトの「NW-S715F」をチョイスして試用してみた。
新製品は製品名こそ「NW-S703F」(レビュー)と同様にNW-Sで始まる「ウォークマン Sシリーズ」だが、これまでのスティックタイプから大幅なデザインチェンジが行われた。カードタイプとしては既に「NW-A805」(レビュー)を含む「ウォークマン Aシリーズ」で採用されているが、より小型化が進められている。
本体サイズは約42(幅)×79.5(高さ)×11.5(厚さ)ミリ、約52グラムとAシリーズ(NW-A805は43.8×88×9.1/53グラム)よりコンパクト。手のひらにすっぽりと収まり、胸ポケットに入れても違和感を覚えない大きさと重さになっている。デザイン面に注目すると、Aシリーズよりも直線の占める割合は増えているものの、フチの丸みはAシリーズより強められている影響か、どちらかといえば柔らかな雰囲気を強く伝えてくる。
前面には液晶とセンターが再生/一時停止ボタンとなる5方向ボタンとOPTIONボタン、BACK/HOMEボタン。ストラップホールとホールドスイッチは左側面、音量調節ボタンは右側面に用意されている。底面には専用インタフェース「WN-PORT」、上面にはイヤフォンジャックとノイズキャンセルのON/OFFスイッチが配置されている。
ノイズキャンセル機能はNW-S703Fなど既存Sシリーズにも搭載されていたが、スティックタイプという形状からの制約か物理的なスイッチは用意されず、メニューを呼び出してから機能をON/OFFする仕組みとなっていた。ノイズキャンセル機能をどれだけの頻度で利用するかでスイッチの価値は変化するが、素早くON/OFF可能となったことは評価したいポイントだ。
液晶サイズは1.8インチ(解像度はQVGA)。Aシリーズと比べるとわずかながらサイズダウンしてしまっているが(Aシリーズは2インチ)、解像度は変化しておらず得られる情報量は変わらない。アーティスト名では7行、アイコン化されたアルバムジャケットを同時表示する際でも5行表示が行える。
操作形態もほぼAシリーズと変わらない。OPTIONボタンの長押しで電源を入れるとメインメニューに相当する「ホームメニュー」が表れ、各種操作や設定が行える。ボタン入力に対する反応も機敏で、操作時にストレスを感じることはない。用意されているアイコンもAシリーズとほぼ同様だが、「録音」(ダイレクトエンコーディング)アイコンの配置が新しい。
ただ、本体がAシリーズに比べて小型化されボタンが比較的下部に配置されている影響か、片手で操作するとややバランスを崩しやすく感じることがあった。しかし重量そのものは約52グラムと軽量であり、操作しにくいという程ではない。イヤフォンジャックは本体下部に設けられていたほうがよかったかも知れない。
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