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「99%騒音カット」の秘密インタビュー(2/3 ページ)

» 2008年04月18日 16時20分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

デジタル化、3つの利点

 ノイズキャンセル回路がアナログで構成されている既存製品、MDR-NC60も「約1/6に低減」をうたっているが、アナログで構成することの限界も感じていたのだという。

photo 本製品に採用されているデジタルノイズキャンセルの概要

 「デジタル化することで進化した点として、“ノイズキャンセル性能”“音質”“デジタルならではの機能”を挙げることができます。最初の2つは実のところ、アナログでの処理では限界を感じていたのです」

 MDR-NC50や60はハウジング内側のマイクで音を拾い、その音を元にノイズキャンセル信号を生成する「フィードバック方式」を採用しているが、ただ単純に「拾って加える」感度を高めるだけではハウリングを起こしてしまう。ハウリングを防ぐためには原因となる高い周波数を可能な限りカットする必要があるが、アナログによる手法では周波数の見極めが既に限界に達していた。

 「音質を高めたい。ノイズキャンセル性能を追求したい。新製品で2つのテーマに挑む際、デジタル技術の導入は避けられないだろうと感じていました」(角田氏)

 「それまでは電源OFFの状態でも通常のヘッドフォンとしても利用できるよう、音質面に配慮していたのですが、デジタルで行こうと決定したことで、ヘッドフォン自体の特性をノイズキャンセリングヘッドフォンとして特化させることができました。MDR-NC500Dが電源OFFのときに使えないのはそのような理由があるのです。ノイズキャンセリングヘッドフォンとして、妥協なく作り上げた製品とも言えるでしょう」(水内氏)

 世界的にみればノイズキャンセリングヘッドフォンが最も利用される場所は飛行機内だが、国内に目をやれば飛行機に加えて、電車や地下鉄、バスといった場所での利用も想定される。そうした利用場所に応じたセッティングが行えるのもMDR-NC500Dの特徴のひとつだ。

 MDR-NC500Dは航空機内の騒音低減に適した「モードA」、電車やバスの騒音低減に適した「モードB」、オフィス内のOA・空調機器の騒音低減に適した「モードC」を備えており、AI NC MODEボタンを押すと周囲の音を判別してモードが自動選択される(任意での切り替えも可能)。トータルとして処理可能なエネルギー量は変えようがないが、処理をデジタル化することで、セッティングの柔軟性は大幅に広がっている。こうした部分はデジタルならではの利点といえる。

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