デジタル一眼レフカメラの中で猛烈なシェア争いをするキヤノンとニコンだが、両社にはエントリークラスのラインアップに明確な差がある。これまでキヤノンのラインアップは国内では1クラス1モデルとなっており、エントリークラスは「EOS Kiss Digital X」の1モデル。それに対してニコンは「D80」「D40X」(現在は「D60」)「D40」の3機種を用意しており、特にD40とD40Xのヒットはニコンにとって、2007年にデジタル一眼レフの年間シェア1位となる(BCN調べ)原動力になった。
これに対抗すべく、キヤノンがKiss Digital Xと併売する形で投入するのが「EOS Kiss X2」だ。クラスとしてはエントリークラスだが、Kiss Digital Xの上位モデルの位置づけで、これでキヤノンのエントリーモデルが2モデルに拡充されたことになる。
Kiss X2は、デジタル一眼レフの「Kiss Digital」シリーズで初めて「Digital」の名を省いたモデル。「すでに一眼といえばデジタルだから」というのが理由のようで「アナログ一眼から引退するわけではない」ということらしい。
併売されるKiss Digital XとKiss X2は全体的なデザインこそ似通っているが、Kiss X2は多少なで肩になるなど、微妙な変更が行われている。Kiss Digital Xは126.5(幅)×94.2(高さ)×65(奥行)ミリ、約510グラムだったが、Kiss X2は128.8(幅)×97.5(高さ)×61.9(奥行)ミリ、約475gだから、わずかに軽くなったぐらいでほとんどサイズは変わらない。相変わらずの小型軽量だ。
外見上の変化としては2.5型だった液晶が3型に大型化。一度Kiss X2の3型液晶に見慣れると、2.5型は小さく感じてしまう。撮影/再生時ともに大型液晶は快適だ。画素数自体は約23万ドットと同じだが、Kiss X2の液晶の方が見やすい印象だった。
Kiss Digital Xの液晶部分は背後にせり出す形だったが、Kiss X2ではこのせり出しが少なくなった。デザインとしてはこちらの方が洗練されていて好印象。液晶下の「Canon」ロゴは液晶上部に移動している。
同じく3型液晶を搭載した1D系や40Dと同様に、液晶左側に配置されていたボタンはすべて移動した。小型化を優先したため液晶下にはボタン類を配置するスペースがなかったようで、液晶上部や十字キー下に配置されたほか、独立したJUMPボタンは廃止された。
十字キーを含むボタンの割り当てもKiss Digital Xから変更されており、十字キー上はISO感度選択から測光モード選択に、十字キー下はホワイトバランス選択からピクチャースタイル選択に、十字キー左は測光モード選択からドライブモード選択に変わった。十字キーの上にあったドライブモード選択ボタンはホワイトバランス選択となっている。
本体上部には、電子ダイヤルとモードダイヤルの間にISO感度ボタンが新設されている。単にスペースがなかっただけかもしれないが、ファインダーをのぞきながらでも押しやすくて便利に感じた。
苦心の跡を感じるボタンレイアウトの変更だが、おおむね成功しているように感じる。既存のKiss Digitalユーザーが移行した場合、特に液晶左側にあったボタンの位置変更で最初は戸惑うかもしれないが、これはすぐに慣れるだろう。
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