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コラム
» 2008年05月26日 11時15分 公開

小寺信良の現象試考:ネット視聴にもう1度「テレビ」を持ち込むbranco (2/3)

[小寺信良,ITmedia]

――ネットでよく使われる映像配信サービスというと、YouTubeやGyaOなどがありますよね。これまでのユーザーは、能動的に番組を探していくという視聴スタイルのほうがなじんでいるのではないかと思うのですが。

柿沼氏: 僕の感覚からすると逆なんですよね。僕自身がモノグサということもあるんですけど、家に帰ってまでPCで何か探してまで見るというのは、あまりやらない。勝手にどんどん流してもらって、ながら見でいい。

――ながら見でいいけど垂れ流し、しかもPCの画面でということになると、今のワンセグのソリューションとかぶりませんか。

柿沼氏: 地上波のコンテンツというのは、マスでいいものが流れています。一方で我々は、マスに受けなくてもいいのかなと思ってるんですよ。趣味のものを見ていただければ。僕はバラエティよりもアニメのほうが好きなんですけど、テレビではゴールデンタイムにアニメなんてやってないわけです。で、家に帰ってテレビをつけても、見るものがない。それだったらアニメ専門のチャンネルをつけっぱなしにしておくほうがいい。こういう考え方もあるんじゃないかと思うわけです。

――専門チャンネルとなると、今度はCS放送と競合していくような気がするんですが。

柿沼氏: 我々はどこの映像サービスも競合だと思ってないんです。無料でやっているので、有料サービスのお試し的な意味も出てきます。例えば今、ディスカバリーチャンネルさんからコンテンツの提供を受けていますが、本来の有料放送に加入するまで、なかなか踏み出せない人も沢山いらっしゃるわけです。

 そういう方々には我々のほうで無料で見ていただいて、面白いと思ったらCSなりケーブルテレビなりの有料契約につながっていけばいいと。コンテンツ供給サイドでは、そのように考えていただいています。

 また我々はHDコンテンツは扱っていません。今ディスカバリーチャンネルはHD放送がメインですので、そちらにつなげていくという意味もあります。ただ我々はDVD画質は確保したいということで、IPv6を採用したという経緯はありますね。

チャンネルを持つという力

――IPv6のVODサービスがHD化していくと、大量に存在するSDコンテンツがある意味、不良債券化するんじゃないかと考えたこともあるんですが、まだまだSDコンテンツのメリットもありますよね。

柿沼氏: 我々は「機動戦士ガンダム」シリーズなども提供していますけど、昔の作品の固定ファンはかなり多いです。昔の作品は当然SDしかありませんから、HDがないことが即デメリットだとは考えていません。ただHDマスターからエンコードするとかなり綺麗なので、素材としては欲しいです。

――今は各専門チャンネルから選ぶという形ですよね。まだサービスインして間もないわけですが、これは将来的にはどれぐらいまで拡張するんでしょう。

柿沼氏: まだ具体的には計画を立てていないのですが、VODじゃなくこっちのサービスを選んだのは、お客さんがチャンネルで選べるようにしようということなんですね。ですから100チャンネルとかになると、VODと同じで選べなくなるのではと思っています。チャンネル数はザッピングできて見られる程度でいいだろうと。それよりも、各チャンネルの質を上げていくということですね。

――コンテンツの手配という意味では、すでにVODでルートはかなり開拓されたところはあると思うんですが。

柿沼: 我々は映像のプロ用機器メーカーでもあります。昨今はデジタルシネマの分野にも力を入れていますが、そこからのフィードバックとして、せっかく作品を作っても発表の場がないという意見が多く寄せられています。もちろんコンテストなどは沢山あるんですが、いい賞を取らないと見てもらえない。こういったデジタルシネマ作品の発表の場として使えないかということで、実際に企画も始めています。

――ソニーというのは基本的にはハードウェアの会社ですから、何かbranco専用のハードウェアというのがあってもいいのかと思うんですが。

柿沼: 将来的にはそういう形のものは欲しいですが、まずはPCで成功して実力を見せないとなかなか話ができないということもあります。現在IPv6の契約者数というのは、だいたい1000万世帯ぐらいらしいんですね。まずはその2割弱ぐらいの加入者を今年度の目標にしています。

 今若い人の間では、家にテレビがないという人も珍しくないみたいなんです。PCでテレビ視聴も含めて全部補っている。ただPCではCS放送は見られませんよね。ですからbrancoのようなサービスがあるとすごく便利、という意見も聞きます。PC中心のライフスタイルというのは、我々が考えている以上に、10代、20代にあるのかもしれないですよね。

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