大手ビデオレンタルチェーン「TSUTAYA」でBlu-ray Discソフトのレンタルが始まったり、音楽ものでは小沢征爾&ベルリンフィルのライブや英国グラインドボーン歌劇場のオペラ作品が発売されるなど、Blu-rayで“芸術の秋”を満喫するにふさわしい環境が急速に整備されつつある。
そんな状況下、この秋ソニーは6機種のBDレコーダーと2機種のBDプレーヤーを日本市場にデビューさせる。1TバイトのHDDを内蔵したレコーダーのトップモデル「BDZ-X100」を自室でじっくりチェックする機会があったが、画質、音質、使い勝手すべてが高次元でバランスした製品に仕上がっていることに感心した。売り上げはともかく、性能面で昨年はパナソニックの後じんを拝していた印象のソニーBDレコーダーだが、本機を使ってみて、今年、レコーダー国内市場でシェア40%を目指すという同社開発陣の意気込みがひしひしと伝わってくる完成度の高さを有していると思った。
さて、いきなり細かな話で恐縮だが、BDZ-X100の購入予定者にお教えしたいことを2つほど。本機は本体から取り外し可能なインレット・タイプのメガネ型電源ケーブルが付属している。これを単品発売されている3社のケーブルに換装してみると、画質・音質ともに明らかな違いが認められた。なかでも好印象だったのは、オーディオテクニカ製ケーブル。ノイズフロアが一段階下がってより晴れやかな画質になり、音もパンチの効いたダイナミズムが感じ取れるようになった。AVアンプにつなぐHDMIケーブルも同様。とくに音質面の変化が著しい。わが家でよかったのは、ワイヤーワールドの「スターライト」とスープラ製ケーブルだった。
本機にはHDMI出力が2系統用意されている。これは切り替え式になっていて、2系統同時出力は不可能だが、その両方の音質を聴き比べてみると、HDMI1は張りつめた緊張感を感じさせる力感重視の音、HDMI2は緊張感がよりほぐれた、しなやかな音という印象。設計者はHDMI2のほうがいいというが、ぼくはHDMI1の力強いメリハリの効いた音のほうが自分の好みに合っていると思った。
と、細かな指摘をしたところで、今回の主役はBDレコーダーではなくBDプレーヤー、「BDP-S5000ES」である。BDZ-X100は素晴らしい性能を持ったBDレコーダーであることは間違いないが、実際にBD ROMを再生してみると、再生機能だけに意を尽くしたプレーヤーの高級機とは画質・音質の「品格」でやはり差がある。
ソニーは先述したように今年BDプレーヤーを2モデル発売する。ここにご紹介する高級機BDP-S5000ESと世界最小サイズをうたう普及価格モデル「BDP-S350」ある。前者は11月下旬、後者は12月上旬の発売が予定されている。
BDP-S5000ESで、まず頼もしく思えるのがブラックフェースの精かんなルックス。ヘアラインが施されたアルミ製フロントパネル、ブルーに光るディスプレイ部のLED、質量感のある偏芯インシュレーターなど、高級機らしい雰囲気を醸しだしている。家電チックな他社のBDレコーダーとは明らかに異なるたたずまいである。
画質をつかさどるのは、すべての信号処理ブロックで14ビット精度を実現した新開発LSI「クリアス」(CREAS)。基本的にBDZ-X100に搭載されたのと同じもので「HDリアリティエンハンサー」「ピクチャーコントローラー」「スーパービットマッピング」という3段構成の高画質回路が組まれている。
HDリアリティエンハンサーは、画像解析ブロックを用いて、1フレームごとに「エンハンス「スムージング」「FGR」という3つの信号処理を切り替えて全画素を鍛え直すというもの。最後のFGRというのは、「フィルムグレインリデューサー」の頭文字を取ったもので、これだけはBDZ-X100には載せられていない。フィルムの粒状性を消してよいのかという疑問はあるが、実機を見たところ、人肌にまとわりつく目障りな微小ノイズを落そうというチューニングのようで、これはこれでたいへん有用だと思った。
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