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エプソン、小型化とデザインに注力した複合機/プリンタ08年モデル最上位はタッチパネル+ADF搭載(1/3 ページ)

» 2008年09月19日 12時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

省スペースでスタイリッシュな新デザインの複合機が登場

複合機の最上位機「EP-901F」

 エプソンは9月19日、「マルチフォトカラリオ」シリーズのA4複合機5モデル、「カラリオプリンタ」シリーズのA4単機能プリンタ3モデルを発表した。いずれも10月8日に発売する予定だ。顔料インクを搭載した複合機の「PX-FA700」と「PX-A640」、A4単機能プリンタの「PX-G930」は継続販売され、2008年秋冬の主要ラインアップはA4複合機が全7モデル、A4単機能プリンタが全4モデルとなる(発表会の模様はこちら)。ドライバの対応OSはWindows 2000/XP/Vista(一部機種は98/Meにも対応)、Mac OS X 10.3.9以降。

 最大の特徴は、複合機の上位3モデル「EP-901F」「EP-901A」「EP-801A」に従来機から大幅に小型化した新デザインのボディを採用したことだ。リビングに置いても周囲のインテリアと調和するように「プリンタらしくないプリンタ」を目指したというデザインは、国内外の拠点と社外デザイン事務所のコラボレーションによるもので、ミラノの外部デザイン事務所の検討案をベースに制作したプロトタイプに対し、日米欧でユーザー評価を実施して作り込んだという。

 新型のボディはボクシーデザインで、カラーはブラックを基調とし、中央にシルバーのラインを配置している。体積比で約40%小さくなり(PM-A940とEP-801Aの比較)、未使用時の本体サイズはEP-901FとEP-901Aが466(幅)×385(奥行き)×198(高さ)ミリ、EP-801Aが446(幅)×385(奥行き)×150(高さ)ミリと特に高さを低く抑えた。

EP-901FとEP-901Aは上部にADFを装備

 本体サイズを小さくするため、プリントヘッドを小型化し、操作パネルはフラットなボタンを液晶モニタ周辺に集めたうえで、チルト式で折り畳める構造にしたほか、上位機のEP-901FとEP-901Aは新たに7.8型タッチパネル式(液晶モニタ部は3.5型)の操作パネルを内蔵した。用紙の搬送は前面給排紙機構を採用。後部トレイを排し、上部にはがきを最大20枚、下部にA4普通紙を最大120枚セットできる前面2段カセットを装備した。EP-901FとEP-901AはA4普通紙を最大30枚セットできる薄型のADFも新搭載している。

 また、CD/DVDレーベル印刷用のトレイを手差し式から本体内蔵に改め、排紙トレイのカバーを印刷時に自動で開く仕組みにしたほか、本体から離れた場所でも動作状況が確認できるように液晶モニタの下に青色LEDのステータスバーを追加するなど、デザインと使い勝手の両面に配慮している。

 その一方で、これまで上位機に搭載されていたフィルムスキャン機能はなくなり、それにともないスキャナ部のセンサはCCD方式からCIS方式に変更された。自動両面印刷機能については、オプションとなっている。

EP-901FとEP-901Aの操作パネルはタッチパネル式で、液晶モニタ左右に並ぶオレンジ色のボタンは各機能で使用できるボタンだけが光る仕様だ(写真=左)。CD/DVDレーベル印刷用のトレイは本体に内蔵され、操作パネルのボタンで給紙トレイとCD/DVDレーベル印刷用トレイを切り替えることができる(写真=中央)。前面カセットは2段式を採用し、上トレイにはがきなど小さなサイズの用紙をセットする(写真=右)

プリントヘッドを刷新し、目詰まり防止機能も追加

 新型のボディを採用した上位3モデルはプリントヘッドも刷新された。背圧制御ユニットを小型化しつつ、ヘッドの移動空間を縮小して、本体サイズの小型化に貢献している。インクを5つのドットサイズで制御する「Advanced-MSDT」(アドバンスド・マルチ・サイズ・ドットテクノロジー)は継承され、インク滴のサイズは1.5〜11ピコリットル範囲、駆動周波数は65kHzだ。L判フチなし印刷の出力速度は2007年モデルの「PM-T960」と「PM-A940」が約19秒、「PM-A840」が約22秒だったが、EP-901F、EP-901A、EP-801Aは約14秒に短縮された。

 ちなみにインクタンクについては従来機と共通の6色独立カートリッジを採用。インクカートリッジの装着部はプリントヘッド側ではなく、本体の前方に配置し、インクをチューブでプリントヘッドへ送る仕組みにより、インクタンクの容量を維持しつつ、本体サイズを小型化している。

自動ノズルチェックシステムは電荷を加えたインク滴を電極プレートに吐出してドット抜けを検知する

 EP-901F、EP-901A、EP-801Aはインクの目詰まり対策として、同社の業務用モデルに見られる「自動ノズルチェックシステム」も搭載した。印刷前に電荷を加えたインク滴を電極プレートに吐出して自動的にドット抜けをチェックし、ドット抜けを検知した場合、ヘッドクリーニングを実施することで、目詰まりによる印刷ミスを防ぐ。また、はっ水性の高いノズルプレート、ヘッド内部に気泡を排出しやすい材料やガス・水蒸気のバリア性の高い材料を採用し、圧力振動で微小な気泡の消滅を促進させる技術を実装するなど、プリントヘッド自体にも目詰まり対策が施された。

 ビジネス用途に配慮した顔料4色インク構成の単機能プリンタ「PX-201」についても、文書印刷用にブラックが384ノズル、シアン/マゼンタ/イエローの各色が128ノズルの多ノズルプリントヘッドを新開発。新型アクチュエーター(PZT振動子)により吐出性能を高め、最小インク滴は従来の3ピコリットルから2ピコリットルに微細化した。ドットサイズは「MSDT」(マルチ・サイズ・ドット・テクノロジー)によって2、4、13ピコリットルの3つのサイズで制御される。A4普通紙の出力速度は最速印刷時でモノクロ38ppm、カラー37ppm(エプソン独自チャート)、標準印刷時でモノクロ16ppm、カラー4ppm(JEITA J1/J6)をうたう。

 PX-201はカラーインクの残量がなくなった場合に、ブラックインクだけで印刷が行える「黒だけでモード」も搭載した。この機能は最大5日間の限定機能で、その間にカラーインクを交換することが必要だ。

「覆い焼き」により写真の自動補正精度がアップ

 同社が推進する、誰でも簡単に高画質かつ色あせない写真を印刷可能にするというブランド戦略「Epson Color」は受け継がれており、新機能としては自動画質補正機能の「オートフォトファイン!EX」に、写真の明度差によって補正強度を段階的に変化させる「覆い焼き」補正が追加された。これにより、逆光写真などで人物を明るく補正しつつ、背景の白飛びを抑えることが可能になった。また、小顔補正と美白補正をプレビューもしくはシート印刷で確認しながら段階的に調整できる「ナチュラルフェイス」機能も引き続き搭載する。

 コピー機能については、EP-901F、EP-901A、EP-801Aに「領域判定コピー」技術が盛り込まれた。コピー原稿内の情報をイメージとテキストに分類し、イメージ部分についてはモアレ抑制、階調性・色再現性の確保、メモリサイズ優先の圧縮、テキスト部分についてはシャープネス・コントラストの確保、品質優先の圧縮といった別々の処理を行ない、画像と文字の両方のコピー品質を両立させている。

 そのほか、EP-901F、EP-901A、EP-801Aには背景写真を合成できる「ノートけい線/マス目印刷」機能が用意され、EP-901FとEP-901Aには写真を輪郭線のみ抽出してモノクロ印刷する「塗り絵」機能が追加された。

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