秋が近づいてきた。秋といえば散策の季節。涼しくなって昼間の散歩も快適になり、カメラを持って撮影散歩するにはちょうどいい。夏の間では暑くて立ち止まる気にもなれなかったが、ふと足を止めて、ちょっとした花を撮りたくなったりもする。
そんなわけで、今回は秋に向け、一眼レフで花なぞを撮る話。
前半はマクロ撮影と被写界深度の話を、後半は新機種ではもはや当たり前の機能となってきた「ライブビュー」でマクロ撮影をする話である。これがなかなかあなどりがたいのだ。
以前、一眼レフではボケをうまく使おうという話をしたけれども(今日から始めるデジカメ撮影術:一眼レフとボケの関係)、特に花を撮る際に欠かせない、マクロ撮影時はそれが重要になる。
コンパクトデジカメだと「レンズ前1センチ」なんて製品もあって、マクロ撮影時にどれだけ近寄れるかが重要なように思われるけれども、本当に重要なのは「どこまで近寄れるか」ではなく「どのくらい大きく撮れるか」だ。撮影距離が同じでも、広角レンズと望遠レンズでは写る被写体の大きさが全然違うからね。
ズームレンズでもズーム域によって最短撮影距離が変わるということは普通ないので(コンパクトデジカメだと望遠にすると最短撮影距離が長くなっちゃう)、望遠側にすれば意外に大きく撮れたりするものだ。
もうひとつの違いが「被写界深度」。
同じようなカットをコンパクトデジカメとデジタル一眼レフで撮り比べてみた。
一眼レフの方が背景が大きくボケていて、花が浮き出て見える。
その違いは「被写界深度」、ピントの合う範囲だ。同じように撮っても、撮像素子が大きいデジタル一眼レフの方が被写界深度が浅い=ピントの合う範囲が狭い=ピントが合った位置から遠いものほどよくボケる、というわけである。
実際にどのくらい違うのか。被写界深度は、撮影時の被写体との距離、絞り値、焦点距離(つまり広角とか望遠とか)、そして撮像素子のサイズで決まってくる。ちゃんと計算するとややこしい。
そこで被写界深度を計算するソフトがあったので、計算してみた。具体的な数値で見てみよう。
ハイエンドコンパクトデジカメ(つまり、ちょっと撮像素子が大きめ)の機種で35ミリ換算36ミリ相当の画角で、50センチの距離の被写体を撮った場合は、「絞り値 F4 被写界深度 約32センチ」「絞り値 F8 被写界深度 約86センチ」と、かなり広い範囲にピントが合うわけだ。
続いてもっと近寄って撮ったとしよう。撮影距離が30センチだと、「絞り値 F4 被写界深度 約10.5センチ」と、ピントの合う範囲が10センチちょっとしかなくなる。近くなるほどピントの合う範囲が狭くなり、絞りを開くほどピントの合う範囲が狭くなるのである。
ではデジタル一眼レフだとどうか。同じ条件で計算してみよう。
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