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第105回 秋と散歩とマクロの関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/4 ページ)

» 2008年09月25日 08時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 APS-Cサイズの撮像素子を搭載するデジタル一眼レフで被写体との距離が50センチの場合、「絞り値 F4 被写界深度 約6.5センチ」「絞り値 F8 被写界深度 約13.5センチ」である。コンパクトデジカメとは全然違う。6.5センチだから、ちょっとした花だともう一部にしかピントが合わない。

 これが撮影距離が30センチだと、「絞り値 F4 被写界深度 2.3センチ」なのだ。ピントを合わせた位置の前後合わせて2.3センチ。実際には被写界深度は手前に浅く奥に深いので、ピントの合った位置の手前1.1センチから、奥1.2センチまでしかピントが合わないのである。

 望遠にするとさらにピントの合う範囲が狭くなる。

 ただし、被写界深度というのは大雑把にいうと「大きくプリントしたとき、ピントが合っているように見える範囲」のことであって、L判にプリントするときや、パソコン上でウインドウサイズに合わせてみるときなどはそこまでシビアにはならない。もっとアバウトに考えていい。ただ、マクロ撮影、つまり被写体との距離が近い撮影ほど、被写界深度は浅くなると思えばいい。背景をうんとボカしたければ、少しでも望遠にして撮影距離を縮める。

 ただしこれは諸刃の剣。ピシッとピントを合わせたら、1カ所にだけピントが合って背景がうんとボケたきれいな写真が撮れるけれども、ピントが少しでも外れたら、ピンボケ写真になる。

どちらも同じ花を狙った写真だけど、ピントの中心がほんのちょっとずれただけでこれだけ違う。

 逆に、被写界深度が浅いだけが写真じゃない。撮るときに「この花のここからここまでにピントを合わせたい」という感じで被写界深度をコントロールしたいこともあるし、キリッシャキッとした写真を撮りたいときはある程度絞った方がいい。

 実際に絞り値と写りの違いを見てみよう。これは150ミリのマクロレンズで撮影した写真。

左上から、F2.8/F5.6/F8/F14

 F2.8だと全体がほわっとボケた柔らかい写真に、F8だと花全体にピントが合ったくっきりした写真になる。F14まで絞り込んでしまうと、ちょっと背景がジャマになるかな。

 あとはどんな雰囲気で撮りたいか、背景はどうか、というところを踏まえて、自分で絞りを決めるのである。

 なお絞りを絞るとその分シャッタースピードが遅くなり、気象条件や日陰か日向かによっては、ちょっとした風による被写体ブレも気にしなければならなくなる。そういうときは、感度を上げたり、風がやんだ瞬間をみはからって撮るべし。

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