「CEATEC JAPAN 2008」が事実上のお披露目となった三菱電機のワイヤレス液晶テレビ“REAL”「46LF2000」。同時発表のキューブ型BDレコーダー「DVR-BF2000」と組み合わせ、インテリアに映える新しいAVシステムを提案する意欲作だ。今回は、CEATECの展示では分からない部分について、詳しい話を聞いた。
LF2000は、フラグシップモデル「MZWシリーズ」発表時にコンセプトモデルとして紹介され、映像信号を無線伝送するレイアウトフリーのスタイルとともに、大胆なデザインのチューナー部とBDレコーダーで話題を集めた。実際の製品になっても基本デザインに変更はなく、異なる部分といえば、別体チューナーの天面にあった円形の無線アンテナが省略されたことと、シルバー系だったボディカラーがホワイトになること程度だ。
三菱電機AV機器製造部技術第3グループ専任の志水浩二氏は、ワイヤレス化のメリットをこう話す。「BDレコーダーなどコンテンツを送り出す機器は接続の関係からテレビ周辺に置かざるを得ず、インテリアへのフィット感を阻害していた。また接続ケーブルの収納も煩わしいもの。ワイヤレス化により、自由にレイアウトできる液晶テレビになる」。
無線伝送は、1080iながら非圧縮伝送が可能で、そのため「時間遅延はほとんどない」(同氏)。伝送距離は見通しで約30センチ〜約20メートル。壁越しの伝送については非サポートとなるが、大きなリビングルームの端と端においても対応できる距離だ。
モニター部は、独自の光沢パネル「Diamondパネル」を踏襲し、狭額フレームかつ奥行き43.5ミリの薄型デザインとした。「画質へのこだわりとして“Diamondパネル”は外せない。薄型のパネルは、この製品のためにパネルメーカーと共同開発したもの。薄型でも倍速駆動をサポートした10ビットパネルを作り、MZWシリーズとほぼ同じ映像エンジンを組み合わせている」(同氏)。
音に関しては、新開発の「DDPS」(DIATONE ダイレクト・ドライブ平面スピーカー)が大きなトピックだ。高分子フィルムに銅箔(どうはく)などを使ったミクロンオーダーの振動膜を形成。独自の磁気回路構成で挟み込んだ構造により、厚さは12ミリとコーン型スピーカーの4分の1以下になった。
「一般的なフラットタイプは低域が不得意で800Hz程度までしか出ない。しかし、テレビに採用するからには200〜300Hzまで出せないと“らしくない”。このユニットの開発により、上は20000Hzから下は150Hzまでの再生が可能になった」(同氏)。
幅35ミリの長細いユニットは、全面が駆動する「スピーカーアレイのような作り」で、全面駆動方式により周波数特性と位相特性はフラットなため、サラウンド処理した信号を正確に再生できるのもメリットだ。「インテリアコンシャスな製品でも、画や音に妥協はしない。LF2000シリーズでは、この点にこだわった」(同氏)。
別体チューナーには、地上/BS/110度CS対応のデジタルチューナーや無線送信機を内蔵している。外部入力はHDMI入力が4系統。うち1系統は前面パネル内にあり、ゲーム機やビデオカメラを接続するのに便利だ。そのほかの入力端子は、D4×2、D-Sub 15ピン、S端子/コンポジット×3。SDカードスロットやイヤフォンジャックも備えている。
一方のBDレコーダー「DVR-BF2000」は、基本的に「DVR-BZ200」と共通の機能を持つ。異なるのは、HDMI出力がDeepColorに対応したことと、AVC録画の「AEモード」が平均ビットレート4.7Mbpsに見直され、いわゆる「5倍モード」になったことだ。「AEモードを使えば、DVD-R/RWにちょうど2時間のハイビジョン記録が可能になる」。
デザインとともに重要なのは、別体チューナーとBDレコーダーのサイズだろう。幅と高さが18センチで、奥行きは29.8センチ。2台を並べて設置すると、BD-ROMのパッケージが間にちょうど収まるサイズ。重厚なAVラックより、むしろワイヤーラックなどごく普通のラックが似合いそうだ。ミニコンポの横に並べても違和感はないだろう。
「再生などの基本的な操作ボタンはテレビのリモコンにも備えており、無線とHDMIケーブル(HDMIコントロールのREALINK)を介して操作できる。チューナーやレコーダーをどこに設置しても、ユーザーは今まで通りテレビに向けてリモコンのボタンを押せばいい」(同氏)
最近はワイヤレス液晶テレビが増えてきたが、BDレコーダーまでを含めたトータルな提案は同社ならでは。HDMIリンク機能などにより、テレビとレコーダーのセット購入が増えているというが、それを後押しするアプローチといえるかもしれない。LF2000シリーズは11月下旬に発売予定だ。
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