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「アクトビラ」――テレビだけでOKなハイビジョンVoDもデジモノ家電を読み解くキーワード

» 2008年10月23日 11時37分 公開
[海上忍,ITmedia]

インターネットのVoDサービスが普及するために

 ケーブルテレビにつきものの「セットトップボックス」(STB)。かつては受信機としての役割が中心だったが、インターネットに接続するためのモデム機能が追加されるなど、次第に家庭における総合端末的な役割に変化している。ブロードバンドの普及に伴ってインターネット経由の映像配信サービスが開始されると、今度はPCにもSTB的な役割が期待されるようになった。

 しかし、PCをテレビの近くに設置している家庭は少ない。ノートPCはともかく、離れた部屋にあるデスクトップPCとテレビを接続することは難しい。リビング向けをうたう製品もあるが、少数派。視聴場所をリビングと考えると、サーバに用意されている番組から好みの番組を選んで見る、いわゆる「ビデオ・オン・デマンド」(VoD)を視聴する目的でPCを使うには、実際のところ物理的な制約がつきまとう。

 そこで考え出されたのが、テレビにSTB/PC的な機能を搭載すること。搭載することで設置の問題をクリアできるほか、免許制で地域限定のケーブルテレビとは異なり、インターネットを利用するIP方式の映像配信サービスならば、地域に縛られず対応できる。これが、単体でVoDを視聴できるインターネット対応テレビが登場した背景だ。

STBもPCも不要な「アクトビラ」がスタート

photo 解像度がアップし全画面表示に対応した「アクトビラ ビデオ・フル」が、年末の薄型テレビ選びの重要なポイントになる?

 「アクトビラ」(acTVila)は、「Tナビ」と「TVホーム」という2つのデジタルテレビ向けネットサービスが前身。前者はパナソニック製、後者はソニー製テレビを対象に提供されていたが、2006年に両社らが中心となりテレビポータルサービス(当時)を設立。そこにシャープと日立製作所、東芝らが加わり、現在のアクトビラとなった(→デジタルテレビ向けポータル「acTVila」、07年2月スタート)。

 当初はニュースや天気などを中心とした静止画+テキストによる情報提供が中心(アクトビラ ベーシック)だったが、対応製品が増え、PPV方式のVoDサービス「アクトビラ ビデオ」が開始されて以来、一気に利用者数を増やした感がある。

 このアクトビラ ビデオ、動画コーデックにはDVD-Videoと同じMPEG-2を採用しているが、解像度が低く全画面表示には非対応、ビットレートも2〜4Mbps程度に抑えられている。そこで追加されたサービスが、解像度が向上し全画面表示に対応した「アクトビラ ビデオ・フル」だ。

 アクトビラ ビデオ・フルでは、動画コーデックにH.264を採用。H.264をサポートしたデコーダーが必要となるため、本サービスに対応したテレビでなければ利用できず、推奨される回線速度も12Mbpsと、アクトビラ・ビデオ(8Mbps)に比べ導入の敷居が高くなるが、映像のクオリティは格段に向上する。さらに今年12月からは、ダウンロードサービスも開始される予定。年末商戦では、このアクトビラ ビデオ・フル対応の有無が薄型テレビ選びの基準の1つになるだろう。

執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)

ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。


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