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3ダイヤルで操作性アップの新Gシリーズ3代目――「PowerShot G10」ちょっと大きくなりました(2/3 ページ)

» 2008年10月30日 11時10分 公開
[小山安博,ITmedia]

28ミリの広角レンズを搭載

 G9に比べて大きな変更点の1つがレンズが大きく変更されたこと。G9までは35ミリ換算で35〜210ミリのレンズを搭載してきたが、G10は新たに28〜140ミリと広角側にふられたレンズとなった。ズーム倍率は6倍から5倍に変更になったため、望遠側は140ミリまでとなっている。

photo 広角端が28ミリに広角化したレンズ。キヤノンはコンパクトデジカメの広角化が遅れていたが、今回の冬モデルで一気にラインアップを増やした

 この変化はかなり大きい。個人的にはようやくGシリーズも広角化したか、という印象だが、望遠を重視するユーザーにとっては、広角側へシフトした上にズーム倍率も下がっているため、望遠側が物足りないという感覚も覚えるはず。

 広角化したとはいえ、最近のコンパクトデジカメでは28ミリはさほど珍しくはないし、開放F値もF2.8〜F4.5で、ズーム倍率も5倍になってしまっている。もともとGシリーズは高いレンズ性能が自慢の高級コンパクトだったのだが、レンズスペックだけをみると平凡なレベルだ。ただ、広角化はしたものの設計に無理がないせいか、写りはいい。細部までシャープに写り、コンパクトデジカメとしては十分満足できる画質だ。

 シャッタースピード換算で約4段分という光学式手ブレ補正を搭載する。ジャイロセンサーの性能向上などによって補正効果がアップしており、かなり強力だ。「モーションキャッチテクノロジー」によって、被写体の動きを検知して感度をコントロールしてくれるので、被写体ブレを抑えるのにも効果的だ。

 撮像素子はG9の1/1.7型有効画素数約1210万画素からさらに高画素化して約1470万画素になった。個人的にこれ以上の高画素化にはあまりメリットは感じないし、パナソニックの高級コンパクト「LUMIX DMC-LX3」があえて有効1010万画素に抑えていることもあり、こうした方向性も検討してもらいたいところ。高級コンパクトを買うようなユーザーであれば、「画素数が増えないと買わない」というヒトは少ないと思うのだが。

DiGiC 4搭載による新機能

 映像エンジンには新たに「DiGiC 4」を採用。DiGiC 4の新機能としてあげられるのが「サーボAF」。顔検出で人の顔にピントを合わせたあと、被写体を追尾してピントを合わせ続けてくれる機能だ。シャッターボタン半押しの状態でも常時被写体を追尾してくれるので、動き回る子どもの撮影にも適している。

photo サーボAFはメニューから選択する。サーボAFにするとAF枠が青色になる

 顔検出と連携するため、人の顔でないと追尾してくれない、という制限があるのが残念だが、追尾そのものはなかなか優秀。DiGiC 4自体が顔検出精度の向上が図られ、横顔や斜め顔の検出に対応しているが、顔検出ができない角度であっても、いったん検出して追尾している間はしっかりと追い続けてくれる。

 もう1つ追加されたのが「暗部補正」。最近よくあるダイナミックレンジを(擬似的に)拡張する機能で、空が多く映っているシーンの建物の陰のように、暗く写った部分だけを明るく補正してくれる。ISO感度でのコントロールではなく、画素単位で明るさを補正しているようだ。撮影時は「自動」だけしか選べないが、再生時にも適用可能で、この場合は自動/弱/中/強の4種類から選択できる。

photo 撮影時の暗部補正の設定。再生時は、実際に画像を見ながら自動、強〜弱で設定できる

 高級機だけあって撮影機能も豊富。P/Tv/Av/Mのマニュアル撮影も可能だ。前述の通り、露出補正はダイヤルを使えるため、Tv/Avの場合はコントローラーホイールでシャッタースピードや絞り値を変更し、露出補正時にボタンを押す必要がない。

 ただし、Mの時だけシャッタースピードと絞り値の切り替えに測光ボタンを押す必要がある。最初はコントローラーホイールでシャッタースピードが変更でき、測光ボタンを押すと絞り値をホイールで変更できるようになり、もう一度押すと測光方式の切り替えに、さらに押すと再びシャッタースピードの変更に移る仕組みだ。

 ホワイトバランスの変更は、従来通りFUNC./SETボタンを押してファンクション画面から選択する。同じファンクションにはNDフィルタもあり、明るい屋外で、絞り開放の撮影をしたいときなどに便利だ。

photo おなじみのファンクション画面

 ISO感度はダイヤルで変更するため、素早く操作できる。ISO感度はオート/高感度オート/100/200/400/800/1600から選択できる。スペシャルシーンモードには「ISO3200」があり、記録画素は200万画素になるが、ISO3200での撮影が可能。

 高感度オートはオートに比べてより高感度まで自動的に増感するモードで、ISO800まで自動で上がる。ただし、AUTO/Pモードでしか動作しない。設定したISO感度では暗い場合に、シャッターボタンを半押しするとショートカットボタンが青く点灯し、ボタンを押すとISO感度が最高ISO800まで増感する「ISOブースター」も搭載する。

photo ISOブースターは左肩のショートカットボタンが点灯する。半押しをしながら押さなければいけないので、実はちょっと操作しにくい

 そのほか、9点AiAF時に、AF枠を小さくすることもできる。AF枠を小さくするとより狙い通りの位置にピントが合わせやすくなる。枠を小さくした時はコントローラーホイールを回転させることでAF枠自体を移動させることもできる。

photophoto 通常のAF枠(写真=左)と小さくしたAF枠(写真=右)

 同様に、1点AFの「アクティブフレームコントロール」もAF枠のサイズを大小から選択でき、特にマクロ撮影時の小さい部分にピントを合わせたいときに有効だ。アクティブフレームコントロールは十字キーで画面内の自由な位置にAF枠を移動できるが、コントローラーホイールを使うと移動できる位置は限られるがより素早くAF枠の位置を変更できる。

 細かいところでは、メニューの中からよく使うものを別画面にまとめる「マイメニュー」機能も便利。また、背面左肩のショートカットボタンにはNDフィルターやマニュアルホワイトバランス、暗部補正などを割り当て、1ボタンで設定できるのも使いやすい。

photophoto 5つまでの機能を1画面にまとめられる「マイメニュー」。G10は機能が多い分、使いたい機能にすぐアクセスできるこの機能は便利(写真=左)、ショートカットボタン1ボタンで設定できるショートカット(写真=右)

 今回のG10のポイントとしては、とにかく広角28ミリに対応した点を挙げたい。趣味性の高い高級コンパクトでは、ユーザーが撮影を楽しめる仕掛けが必要で、G10ではアナログの操作感と広角レンズがその仕掛けと言えるだろう。

photo 撮影可能枚数は約400枚。十分な枚数が確保されている

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