HW10をはじめ、ソニーのホームシアター用プロジェクターは、反射型液晶を採用することもあってか、奥行き方向に長い製品がほとんど。HW10もその方向性を踏襲して、ロングボディーと呼べる縦長デザインになっている。サイズは407.4(幅)×463.9(奥行き)×179.2(高さ)ミリと、今回試聴したほかのモデルに比べてもひとまわり〜ふたまわり大きいが、高級機のように画質最優先で巨大なボディーを与えられているわけではなく、接続ケーブルの端子類をボディ左サイドにレイアウトするなど、設置場所の自由度は充分考慮されている。かえってケーブルの抜き差しが容易で、便利に感じたほどだ。
レンズシフトの許容幅は、上下65%、左右25%。サンヨーやエプソンのように大きなアドバンテージはないが、実使用上は充分な内容といえるだろう。またズームやピントも含めて、レンズ設定に関する調整項目はすべて手動。これはコストダウンのためにトレードオフとなった部分なので、低価格化という恩恵を受け取っている以上は目をつぶるしかはない。ただ、初期設置時以外はあまり活用しない機能であるため、不便さはそれほど感じないはずだ。なお各調整ダイヤルは、ほどよい抵抗感をともないつつ精密な動きをしてくれるので、微調整はとてもやり易かった。こういったユーザーインタフェースに対するこだわりは、さすがソニーというべきか。
メニュー体系に関しては、ソニー独自の仕様ではあるものの直感的で分かりやすい。基本的には「ダイナミック」「スタンダード」「シネマ」から映像にあったモードを選びだし、それを環境によって微調整すれば事足りる完成度となっている。ユーザーモードは3つメモリーできるため、その充実したスペックを生かすためにも、用意されたあまたの項目を大いに活用してさらなる映像の追い込みをしたくなるのも事実。後で元に戻すのは簡単なので、色合いや明るさはもとより、オートアイリスの効かせ方、ノイズリダクション、色温度、黒補正、ガンマ補正などのパラメーターを適宜調整して、自分なりのカスタマイズを積極的に楽しみたい。
こういった調整時にはリモコンを活用することになるのだが、こちらはちょっとばかりクセがあった。ボタン数が少なく、暗い部屋でのブラインド操作時はとても分かりやすいものの、そのぶん入力切替などのダイレクトボタンが用意されず、数回押し続けることで切替を行うトグルタイプとなっている。信号が入力されていないものは自動的にジャンプするし、慣れてしまえばこの方が使い易いのかもしれないが、好みの分かれるところだろう。
入力端子は2系統のHDMI端子をはじめ、ひととおりはそろっている。接続機器がそれなりに多い人でも、大きな不満はないだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR