今回紹介するアプリは「クリスマスカメラ1」。価格は230円だ。このアプリはカメラで人を撮影すると、その人をクリスマスっぽく変えてくれるアプリである。つまり、写真に写っている顔にサンタのひげを付ける、帽子をかぶせる、パーティーの三角帽をかぶせる、あるいはトナカイのかぶり物を勝手に付けるといった処理を行い、何気なく撮った写真をクリスマスパーティーの写真にしてくれる。
準備するのはこのアプリと笑顔だけだ。ちょっと明るい照明の下だとなおいいだろう。クリスマスカメラ1を起動すると写真を撮るモードになる。いつもどおり写真を撮るのだが、このとき、人物の顔はなるべく正面から撮影するのがコツだ。写真には何人かが同時に映っていても問題ない。
シャッターを切ると画像処理が始まり、程なく合成が終了して、クリスマス的な飾り付けがなされた写真ができあがる。スーツ姿の3人の写真を撮ったとしても、クリスマスパーティーでの1コマのように見えるから面白い。よくできてるな、と思うのは、複数人が映っているとき、ちゃんとそれぞれ違う飾りつけになる点だ。
もしも、かぶせられた帽子やヒゲが気に入らなかったときは、顔の部分をタッチすると、帽子のサイズや形など、違うパターンの飾り付けを合わせてみることができる。もちろん違う顔をタッチすれば、タッチした顔の装飾だけが変わるので、取った後に自分の好きな飾りを選ぶ、という楽しみもきちんと残されている。
このアプリを開発したのはパンカク。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のインキュベーション施設にオフィスを置く大学発ベンチャー企業だ。このクリスマスカメラを含め、9本のiPhoneアプリを開発しており、ユニークなアプリをたくさんラインアップしている。開発に携わる同社CTOの横江宗太氏は、iPhoneの環境について次のように語る。
「以前からコンピューター音楽(DTM)をやっていてプログラムの開発もしてきました。PCもスペックが低い頃は最適化し、効率的なコードを書くことがとても大切でしたが、最近のPCはスペックも高く、あまりそのあたりを気にしないで作れるようになっています。しかしiPhoneはマシンパワーをシビアに考える必要があります。パフォーマンスのチューニングは、過去のソフト開発の経験が生きてきます。また、Cが使える環境なので、世にあるライブラリを移植しやすい環境にあります。もちろん、PCのスペックに合わせたものがほとんどなので、そのままでは使えませんが」(横江氏)
今回のクリスマスカメラ1では、インテルが開発、公開しているオープンソースのライブラリ「OpenCV」を利用している。このライブラリは画像処理から構造解析、モーション解析、パターン認識などを実装しており、このライブラリによって顔面認識を行い、そこへのデコレーションを施す、という仕組みを実現しているそうだ。
パンカクは「クリスマスカメラ2」というアプリも公開しており、こちらは撮った写真にクリスマスツリーを立てるなど、より拡張現実の片鱗を見せてくれるアプリ。そう、自分の顔を“クリスマス化”してくれるアプリも、カジュアルに言えば「写真をデコる」だけなのだが、考えようによってはクリスマスパーティーに行っているつもりになれる拡張現実の世界でもあるのだ。
今年のクリスマス、忙しい人は、ぜひ職場でこのアプリを使ってみてほしい。一通りオフィスの中を撮影し終わると、きっと職場もピースな気分に包まれていることだろう。
東京、渋谷に生まれ、現在も東京で生活をしているジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ(クラブ、MC)。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。1997年頃より、コンピュータがある生活、ネットワーク、メディアなどを含む情報技術に興味を持つ。これらを研究するため、慶應義塾大学環境情報学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。大学・大学院時代から通じて、小檜山賢二研究室にて、ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について追求している。
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