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世界一のプラズマモニター、パイオニア「KRP-500M」で観るBD「アメリカン・ギャングスター」山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.31(1/2 ページ)

» 2009年01月07日 07時48分 公開
[山本浩司,ITmedia]

 2008年12月、自室のテレビをパイオニア「PDP-5000EX」から同社の最新プラズマモニター「KRP-500M」に入れ替えた。さまざまな場所でこの50V型機の魅力に触れ、どうしても自分で使ってみたくなり、2006年に導入した5000EXから乗り換えたのである。

photo パイオニアの「KRP-500M」

 一昨年(2007年)に発売された「PDP-5010HD」に出会ったときも、気持ちは揺れ動いた。暗所コントラスト2万:1のスペックを実現した黒再現の向上を目の当たりにし、これはすごいと思った。しかし、5000EXとじっくり見比べると、輪郭描写やホワイトバランス、肌色、階調の細かなニュアンスの再現性で、5010HDは5000EXをすべて上回っているとも思えず、すぐさま買い替えようという気にはならなかったのである。

 しかし昨秋、KRP-500Mをチェックしてみて、画質の熟成度、テレビモニターとしての完成度で5000EXを大きく上回っていることを実感。迷うことなく、自室に迎え入れることにした。

 では、なぜ筆者は他社製品に比べて高価格なパイオニアのプラズマ機を使い続けているのか。その理由はいくつかあるが、白熱灯による間接照明で50ルクス近辺に設定した、自室のほの暗い照度環境で、最も好ましいバーサタイルな高画質を提供してくれるのが5000EXであり、500Mだということがその最大の理由である。とくに映画ソースにおける白人女優の上品なスキントーンの表現は、パイオニア・プラズマ機はすべてのテレビの中で最高だと思う。500Mはその魅力にますます磨きがかかった印象だ。

 また、虚飾を廃したスクエアなデザインにもこざかしさがいっさいなく、高級機にふさわしい落ち着きを感じさせるし、他社の聴くにたえない内蔵スピーカーの音に比べるのもアホらしいくらい、その音質もマシである(もっとも、ぼくはサイドスピーカーをはずしたモニタータイプを使い継いでいるのだが)。

photo 「KRP-500A」はテレビチューナー内蔵の別体メディアレシーバーが付属する

 じつは今回、モニター機の500Mにするか、チューナー内蔵メディアレシーバーを別ボディーにしたテレビタイプの「KRP-500A」にするか、少し迷ったが、従来通りモニター機の500Mを選んだ。

 パイオニアの説明によると、A(テレビ)とM(モニター)は、チューナーとスピーカーのありなしの違いだけで、画質回路はじめ中身は全く同じという。しかし実際に見比べると、微妙に画質は異なり、ぼくはMのほうがより好ましく感じる。

 もう1つ、ぼくが500Mを選んだ理由として、自分の好きなスピーカーを組み合わせることを前提にしていたため、500Aのディスプレイ両サイドに取り付けられたスピーカーが必要なかったということも大きい。レスエレメント・デザインを掲げるパイオニア・プラズマ機のシンプルでスクエアな意匠がぼくは好きだが、サイドスピーカーが取り付けられた500Aのルックスは、横長すぎて少し違和感を覚える。ハイビジョンの9:16の画角は、人間がもっとも安心感を抱く黄金比(1:1.618)に近く、視覚的な安定感があり、スピーカーをはずした500Mのほうが断然美しいと思う。

 モニター機だからといって、500Mの使い勝手が悪いわけではない。ぼくは地デジ/BSダブルチューナー仕様のBDレコーダー、パナソニック「DMR-BW930」のHDMI出力を本機につないで使用しているが、500Mはスピーカー出力端子を装備しているので、外部スピーカーとの組合せが可能、本機のリモコンで音量調整ができる。

 現在自室では、アンソニーギャロ(米国)の手のひらの上にのるコンパクトな球形スピーカー、マイクロサテライト(ブラック仕上げ)を本機とつないでいるが、500Mとの視覚的なコンビネーションもいいし、見かけを裏切る本格的なサウンドが楽しめる。マイクロサテライトをラックの両サイドに置くと、500Aのサイドスピーカーよりも優れたステレオ効果が得られるし、こういう組み合わせを試して、ぼくはテレビを趣味的に使いこなしたいと考えているのだ。じっさいにわが家を訪れた方に、本機につないだマイクロサテライトをお聴かせすると、ほとんどみんなその音のよさに驚かれる。

 最近発売されたスピーカーの中では、16.5センチの同軸ユニットを使った2ウェイ機、KEFの「iQ30」と組み合わせるのも面白い。1本3万円強の安価なスピーカーながら、英国の知性が凝縮された、じつに味わい深い音を聴かせてくれる。

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