東芝は10月5日、「Cell Broadband Engine」を搭載した初のテレビ“Cell REGZA”「55X1」を発表した(→圧倒的な“頭脳”を持つテレビ「Cell REGZA」登場)。発表会であいさつに立った東芝デジタルネットワーク社の大角正明社長は、「企画と開発に4年かけた。東芝の技術とプライドが詰まった“最高のエンターテインメント・マシン”」と自信を見せる。
Cell REGZAに採用された「Cell Broadband Engine」は、ソニーの「Playstation 3」で知られる高性能プロセッサ。もとのアーキテクチャは東芝、ソニー(SCE)、IBMの3社が共同開発したもので、1つの制御用コア(PPE)が7つの演算用プロセッサ(SPE)を統括する高度な並列処理が特徴だ(SPEは8つ、うち1つは予備)。処理能力は、3.2GHz動作で218GFLOPS。既存のREGZAシリーズに搭載されている映像エンジン「メタブレインプレミアム」と比較して約143倍の処理性能にあたり、テレビ用のCPUとしてはケタ外れのパワーだという。「テレビはついに“頭脳”を持った」(大角氏)。
その処理能力を生かし、Cell REGZAでは高画質化、多チャンネル同時録画、そしてネットワークの各機能を「膨大なソフトウェア処理により実現する」という。
まず画質面では、CellはLEDバックライトの制御チップを統括する役割を担っている。今回、Cell REGZAに採用されたLEDバックライトのドライバーおよびLED実装基板(パッケージという)は東芝が新規に開発したもので、ローカルディミング(エリア制御)の単位になるLEDブロックアレイは、縦16×横32の計512分割。現行のフラグシップモデルであるREGZA「ZX9000シリーズ」が96分割であることを考えれば、その細かさが分かるだろう。
さらに、Cellプラットフォーム内では、パネルのLEDバックライト分割数よりも細かい2096分割で映像の明るさを検出。それに画面全体のヒストグラム情報を組み合わせ、512分割それぞれの明るさを最適化しているという。もちろん、細かい明るさ分析とヒストグラム分析をリアルタイムで実行できるのも「Cellのパワーによるところが大きい」(同社)。LEDをより小さな単位で、より正確にバックライトの明るさをコントロールすると、とくに光彩部と陰影部が隣接する輪郭の描写が良くなる。
一方、LEDバックライトの素子自体も大幅に発光効率がアップしており、ピーク輝度は1250カンデラになった。これにLEDバックライトによる黒の沈み込みなどを合わせ、ダイナミックコントラストは500万:1を実現したという。
CEATECの東芝ブースでは、現行のREGZA「55ZX9000」と画質デモを行っているが、黒の締まりと白のピークが明らかに1段上だ。液晶パネルはZXシリーズなどと同じVA方式のため、純粋にLEDのピーク輝度向上と512分割のローカルディミングが効いていることが分かる。
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