昼時のITmedia社内。「1000円のランチに行こうかな〜。いや、今月お金ないからコンビニ弁当にしとくか…」。むなしい。「働けど働けどなお我が暮らし、楽にならざり」とつぶやき、じっと手をみていると、筆者の嘆きを知ってか知らずか、軽やかな足取りでLifeStyle編集部のS記者がやってきた。
「不景気そうな顔してますね。お金もたまって心も豊かになるいいものがありますよ」
とってつけたような台詞とともに彼が差し出したのは、タカラトミーの「名言貯金箱」だった。
「この貯金箱、お金を入れるたびに先達のありがたい名言が表示されるんですよ。ぜひ使って身も心も豊かになって下さい」
「ワタシ、歴女じゃないしー。だいたいそんなありがたいものなら、自分で使えばいいじゃん」
「いや、ボクには家のローンがあるんで…」そう、S氏はマイホームを手に入れたばかりなのだ。
「さ、楽しい我が家に帰らないと」
ウキウキ去っていったS氏を見送る私の前に残されたのは「名言貯金箱」の山。「龍馬と幕末偉人編」「信長と戦国武将編」「三国志武将編」の3箱だ。
何事もまずは準備が大切だ。といっても面倒なセッティングは必要ない。プラスドライバーと単3乾電池2本を用意するだけだ。底面の電池ボックスを開け、電池をセットしてカバーを閉めたら準備完了。
あとはお金を入れるだけだ。
貯金箱の大きさは約95ミリ×95ミリ×95ミリ。10センチ弱の立方体だ。名言は液晶ではなく、上下に分かれたパネルが回転して表示する。
貯金箱の硬貨投入口に硬貨を差し込むと、名言パネルが回り始め、硬貨を差し込んでいる間中、バラララ〜っと高速回転し続けている。パネルがバサバサ回っている音は、なかなかいい音だ。適当なタイミングで硬貨を落とすと回転が止まり名言が表示される。
名言の選定は「歴史街道」編集部が監修、パッケージイラストはゲーム「信長の野望」「三国志」シリーズなどのパッケージイラストを手がける長野剛氏で、歴史好きも満足だろう。
名言が採用された面々を見ていこう。今をときめく「龍馬と幕末偉人編」は、坂本龍馬をはじめ、高杉晋作、勝海舟、吉田松陰、西郷隆盛ら幕末の偉人14人の名言を収録。人材豊富な「信長と戦国武将編」は、織田信長、徳川家康、伊達政宗、武田信玄ら27人の武将の名言を収録。個人的には一番ためになりそうな名言が多かった「三国志武将編」は、劉備、曹操、孫権、諸葛亮、呂布ら13人の名言が収められている。
さっそく偉人の名言を拝聴してみることにしよう。まずは旬の「幕末編」にお金をいれてみた。
「弱い羊だけが群がっている世の中など嫌だ。虎の寝そべっている野辺を突き進め。 山県有朋」いきなりすごい名言を頂戴した。自殺行為、と呼ばれる行動のような気がしないでもないのだが…。いやいや、ありがたいお言葉だ。あえて厳しい道を行こうではないか。もう一度挑戦。「涙をかかえて沈黙すべし 中岡慎太郎」……“外に策なし”ってことですかい!
気を取り直して、戦国武将に聞いてみよう。
「願わくば我に七難八苦を与え給え 山中幸盛」それって、Mですか? 「武士に生まれたからには、討ち死には本望である。それが息子でも悔いはない。 長宗我部元親」討ち死にって……。
三国志の英雄たちなら……「泣いて馬謖を斬る。 諸葛亮」いきなりクビですか。「学問をするなら、集中力のある若いうちにするべきだ 曹操」もはや筆者は手遅れってことでしょうか。
励まされてるんだが、突き放されてるんだか微妙なところだが、各貯金箱とも30種類の名言がランダムに表示される。
投入硬貨は1円玉〜500円玉まで対応。貯金箱内のスペースがいっぱいになると、投入口から硬貨を入れられなくなる。そうなったら、背面の「PUSH」ボタンを押しながら、硬貨取り出し口の扉を上にスライドさせることでお金を取り出せる。
意外と貯金スペースが小さいのに驚いた。500円硬貨で30枚、最大で1万5000円の貯金が可能だという。
「え、それだけしか貯金できないの?」と思った人ほど、実は貯金が続かないタイプなのではないだろうか(筆者がそうだ)。いくら入れてもいっぱいにならない貯金箱の存在はいつしか忘れてしまうものだ。これくらいの金額ならそんなに時間をかけなくても貯金箱をいっぱいにすることができる。もう入らないくらい満タンになった貯金箱から、お金を取り出す瞬間、数々の名言が走馬灯のようによみがえる(はず)。ここまで頑張った自分を褒めてあげよう。そしてたまったお金を有効に活用しようではないか。おいしいものを食べにいくもよし、オシャレなシャツやネクタイを買って男っぷりをあげるもよし、本や映画で自己投資をしてもいい。奥さんや彼女へのプレゼント購入に使うのもオススメだ
そして使ったあとは、また新しい貯金に励めばよいのだ。名言を読んでためになる上、明日への活力も湧いてくる(気がする)。自己啓発セミナー顔負けの貯金箱といえる(のか?)。希望小売価格はいずれも2993円。これで希望が手に入るなら安いものです。
もうひとつ、気の利いた機能として、上面にカード立てのスリットが入っている。付属のカードに目標を書いて立てたり、写真立てとして活用したりできる。今なら「龍馬伝」の福山雅治の写真でも立てておくとタイムリーだろう。
万事において形から入る筆者だけに、名言を読めば、自分もそれなりの人物になれるような気がしてきたから不思議だ。名言はランダム表示されるため、30種すべての名言を見るにはせっせと貯金しなければならない。名言パネルの下に通し番号が振ってあるので、見た番号をメモっておくとよいだろう。
よし! 名言コンプリートを目指して貯金するぞ! 貯まったら何につかおうかなー。ワクワク。
お金、お金、と。
………(サイフがさごそ)
………(ポケットがさごそ)
あれ? もう貯金するお金がない!? 次の給料日はまだまだ先。ワタシがひとかどの人物になれる日もお金持ちになれる日も遠いようだ。少女老いやすく金貯まりがたし。
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