東芝「SD-BDT1」は、エントリークラスのBDプレーヤーとしては珍しくBlu-ray 3Dに対応した製品である。日本ではあまりプレーヤーの需要はないと見られがちだが、プレーヤー専用機はレコーダーに対して余分なデジタルパートが省略されているぶん、映像/音声クオリティーに関して少なからぬアドバンテージを持ち合わせている。しかも実売3万円台半ばとリーズナブルだ。ということで、東芝SD-BDT1の実機を借用して、さまざまな角度からチェックを行うことにした。
まずは東芝SD-BDT1の概要について紹介しておこう。SD-BDT1は、先にも話したとおり、再生専用のBDプレーヤーである。Blu-ray 3Dのほか、BD-LIVE、BONUSVIEWにも対応しており、Blu-ray DIscタイトルを楽しむ環境としては申し分ない。いっぽう音声も、ドルビーTrueHDやDTS HD MAといったHDオーディオのビットストリーム出力とデコード出力をサポートしている。
また、DVDメディアに対する対応もなかなか。VR形式はもちろんのこと、HD放送をDVDに保存したAVCREC、HDビデオなどで使われているAVCHDも再生可能となっている。ただし、SACDやDVDオーディオ対応していない(もちろんHD DVDにも)。USBメモリによるメディア再生もJPEG画像とMP3音楽再生のみだ。しかし低価格モデルとしては、ユニバーサルプレーヤーとしての資質より、最新のBDフォーマットをサポートしていることのほうが重要だろう。
SD-BDT1のフットプリントは、430(幅)×225(奥行き)ミリ。高さも54ミリと、ライバルのソニー製BDプレーヤーとまでは行かないが、かなりの薄型(+奥行きの少ない)モデルなので、置き場所に苦労することは少ない。単体プレーヤーとしては、良好な設置性といえる。配線もシンプルで、電源コード、テレビまたはAVアンプと接続するHDMIケーブル、それに色々な情報をインターネットから取得するためのLANケーブルという3つを接続すればこと足りる。ちなみにSD-BDT1は、同軸デジタル音声出力も備えており、CDなどを再生する際の音質向上も期待できる。
設置にかかった時間は5分ほど。電源を入れ、初期メニューに従って各種設定を行っても、箱を開けた10分後には使い始めることができた。この手軽さは、エントリーモデルならではだ。
実際に使い始めてみると、なかなかの使い勝手の良さに感心する。もちろん、機能がシンプルだからこその分かりやすさもあるのだが、なんといってもレグザリンクの恩恵が大きい。特殊なショートカットを頻繁に使おうと思わなければ、ほとんどの操作がテレビ側のリモコンでこと足りる。
例えば、一緒に試用した“REGZA”「55F1」など最新の東芝製液晶テレビでは、「AVシステムを操作」のなかに「東芝プレーヤーを操作」という項目が用意されており、こちらを選ぶとSD-BDT1の詳細設定までコントロールすることができる。これはありがたい。しかもディスクを入れただけで勝手に地デジのテレビ画面から切り替わってくれる。さらにいえば、今回の視聴に使ったパイオニア製のAVアンプ「SC-LX71」のセレクターもディスクインに反応して自動的にソースを切り替えてくれた。
ちなみに先に試聴リポートをお届けしたパナソニックの一体型3Dテレビ「TH-P42RT2B」と組み合わせた場合でも、SD-BDT1のディスクインで入力ソースが自動的に切り替わってくれ、テレビ用リモコンでほとんどの操作がこと足りた。こういった、メーカーの垣根を越えたユーザビリティの良さは大いに歓迎したい。再生関連と電源オフくらいしか連動していなかった数年前のHDMIとは大違いで、状況は変化していることが伺える。
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