「羊の皮を被った狼」。そんな形容詞がぴったりのAVアンプが登場した。外観や基本構成は下位モデルとほぼ同一ながらも、フラッグシップモデルの「DSP-Z11」と同じ、または同グレードの高品位バーツを惜しみなく投入し、徹底的な映像/サウンドチューニングを施したスペシャルモデルを作り上げた。それが今回紹介するAVアンプ、ヤマハ「RX-V3067」である。
RX-V3067は、ヤマハとしては久々の登場となる高級AVアンプだ。同社には現在、トップレンジのAVアンプとしてZシリーズ(フラッグシップの「DSP-Z11」と高級機の「DSP-Z7」の2機種)をラインアップするが、RX-V3067はこれに次ぐポジションに位置づけられている。また価格的には「DSP-AX3900」後継のミドルクラスといえるが、詳細をみていくと、そう単純な存在でないことが分かる。
例えばオーディオDACには、DSP-Z11とおなじバーブラウン「DSD1796」が投入されているし、デジタル信号のジッターを低減するウルトラロージッターPLL回路もZシリーズからの継承だ。さらに電源トランスやコンデンサーは、DSP-Z11クラスの高品位を誇る大容量タイプがおごられ、7ch分が搭載される定格140ワット出力のパワーアンプも、S/Nレベルなどクォリティー面でDSP-Z11と同等。シャーシ構造も、DSP-Z11と同じ左右対称コンストラクション&H型クロスフレームを採用する。
ヤマハAVアンプ最大の売りである「シネマDSP」は、これまでZシリーズでしか採用例がなかった「シネマDSP3」(キュービック)を搭載。別途4chパワーアンプを用意する必要があるものの、11.2ch再生の3D立体音響が存分に堪能できる。
さらにこれらのパーツは、すべて音質的なチェックを行った上で数十の候補のなかから最良のものを選んだとのこと。しかも、音質や映像クォリティーをさらに向上させるため、シャーシ底板を2重化したほか、基板と基板をつなぐケーブルの配線場所までこだわり抜いている。
このようにRX-V3067は、ミドルクラスの豪華仕様というよりも、Zシリーズの心臓をミドルクラスのケースに押し込み、さらにチューニングを突き詰めたスペシャルモデルといった印象が強い。しかもDSP-Z7ではなく、DSP-Z11とのスペック的な共通点が多いことも注目すべきポイントだ。ここまでの内容を定価23万3100円で実現したことも含めると、「羊の皮を被った狼」という言葉が思わず頭に浮かんできたことに、皆さんも共感してもらえると思う。
これらの基本パートと高音質思想をZシリーズから受け継ぎつつも、デジタルパートに関して、最新モデルならでのは大きなアドバンテージを持ちあわせている点も特徴だ。HDMIは、当然のように3DコンテンツとARCに対応し、映像関係ではIDTの最新プロセッサー「VHD1900」を搭載することで、ディテール強調やエッジ強調、モスキートノイズ、ブロックノイズ、テンポラルノイズリダクションなどを統合的に制御、最適な映像を自動的に作り上げてくれる。音声も、最大8地点での計測結果を総合判断するマルチポイント計測に加え、初期反射音を制御する「YPAO-R.S.C.」(Reflected Sound Control)とシネマDSP効果を最適化するDSPエフェクトレベルノーマライズを新導入。自分の部屋にベストマッチするサウンドを手間なく作り上げてくれる。
また、Windows 7およびDLNA1.5にも準拠しており、NAS(ネットワークHDD)やPC内にある音楽コンテンツの再生が可能となっている。しかもFLAC形式の96kHz/24bitまで対応している点はありがたい。そのほかUSBメモリー内の楽曲再生や、別売アダプタによるiPod再生、ヘッドフォンによるバーチャルサラウンド再生など、機能面では多くの人に満足感を与えてくれることだろう。
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