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“Z”の音を継承した上級AVアンプ、ヤマハ「RX-V3067」羊の皮を被った狼!?(2/2 ページ)

» 2010年11月12日 11時00分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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ユーザビリティーをチェック

 事実上、販売終了となるDSP-Z7までフォローする役割を担うRX-V3067だが、そのユーザビリティーはどうだろう。今回の取材時、最終試作をヤマハの視聴室でじっくりと吟味する機会に恵まれたので、詳しく報告しよう。

 まず機能面に関しては、先にも述べたとおり文句のない充実さを誇る。特に96kHz/24bitのWAVやFLACに対応するネットワークレシーバー機能は、PCオーディオシステムとの統合が図れることから、今後は多くの人が重宝することになるだろう。実際にNASを使った接続/再生を試みたが、セレクターでソースをあわせると、すでにNASが自動認識されており、当たり前のようにリストが表示され、フォルダ→楽曲と選ぶだけで音楽を再生することができた。シンプルでありながら的確なメニュー表示も含めて、ネットワークレシーバー機能は使いやすかったといえる。

背面端子と前面パネルのインタフェース

 一方で、さすが高級機というべきだろう、入力系統が多数用意されている点も特色だ。HDMIは入力が8系統あり、そのうち1系統はフロントパネル側に用意されている。これだけの数が用意されていれば、HDMI端子が足りないという事態はまず起こりえない。またHDMI出力も2系統用意されていて、薄型テレビとプロジェクターを同居させているユーザーにはありがたい限り。どちらもテレビ側の音声を受け取ることができるARC対応(メニューから切り替える方式)なので、こちらの接続も簡単だ。このほかにも、アナログ入力(10系統)やデジタル入力(光4/同軸3)、D4ビデオ、映像コンポーネント端子なども用意されているので、現在所有の機器を継続して使いたいという人にも重宝する。

 話は変わって、フロントパネルに目をやると、すぐ隣に置かれた弟機「RX-V2067」と区別がつかないくらいそっくりのデザイン。確かにZシリーズのような重厚感はないが、いまどきの洒落た印象には好感が持てる。とはいえ中身の違いは姿に現れないものだなぁ、と何気なくボリュームダイヤルを回すと、しっかりとした手応えのある感触が返ってきた。試しにRX-V2067のダイヤルを回すと、こちらは軽く、クルクル回せそうな印象だ。姿は一緒だが、操作感にもこういった違いを与えているのは、嬉しくもあり驚きだった。

気になるサウンドを徹底チェック

 さて、RX-V3067の真骨頂である、サウンドクォリティーはいかがなものだろう。まずは「セリーヌ・ディオン Live in Las Vegas:A New Day」を視聴すると、ノビと張りのある彼女の歌声が存分に堪能できた。伴奏の確かさや迫力も充分。音色的にはナチュラル指向で、筆者が会場で体験したサウンドにとても近い印象を持った。

 続いて「アンジェラ・アキ in 武道館」を聴くと、こちらもなかなかの好感触。アンジェラの声に厚みがあり、歌がとても印象的に聴こえる。また観客の拍手の響きが、ここまで広がって感じたのも初めてだった。このとき、試しにシネマDSPのモードをいくつか試してみたが、こちらもなかなかよかった。エフェクトのタイプには人それぞれの好みがあるだろうが、好印象だったのは「まるで壁が存在しないかのように大きく拡がる音場」と「DSP効果を使っても劣化を感じない音質」だ。両者ともヤマハが以前から持ち合わせていたアドバンテージだが、RX-V3067ではシネマDSP3(キュービック)の名にふさわしい、Zシリーズ同等のクォリティーを確保していた。

 さらに驚きだったのは、映画コンテンツだ。Blu-ray Disc「300」で無数の矢が飛んでくるシーンを見ると、遠くから急速度で近づいてくる矢の音がとてもリアルで、恐ろしく思えるほど。かつ刺さり方もとても鋭いので、思わず避けてしまうくらい臨場感はたっぷりだ。セリフに関しても、役者の微妙なニュアンスまで伝わってくるため、ストーリーにどっぷりとはまり込むことができる。そのいっぽうで、緻密なまでの音場再現を体感できた。俳優のセリフと効果音、そしてBGMが見事に分離し、別々のポジションとレイヤーから伝わってくるのだ。ここまで正確かつ超分解能的に、映画のサウンドフィールドを展開してくれたAVアンプはほとんどない。この音場感の正確さに関しては、DSP-Z7を超えた存在と断言しよう。

 このようにRX-V3067は、機能的にはこれ以上はないくらい充実した内容を持つ最新モデルでありながら、フラッグシップのテクノロジーを受け継ぐことで、上級クラスを超えハイエンドに迫る実力を持ち合わせることとなった、貴重な存在である。外見は下位モデルと同じ意匠が与えられているが、性能面を見ればこれほど魅力的なモデルはない。Zシリーズに迫る、いやDSP-Z7に対しては部分的にアドバンテージを持つ実力派が、3分の2程度の価格で手に入るのだ。そう考えると、23万3100円という価格が、まるでバーゲンプライスのように見えてくるから不思議だ。

型番 RX-V3067 RX-V2067 RX-V1067
アンプ構成 140ワット×7(11.2chまで対応) 130ワット×7(9.2chまで対応) 105ワット×7(7.2chまで対応)
シネマDSP シネマDSP3(キュービック) シネマDSP<3Dモード>
HDMI端子 入力×8、出力×2
そのほか入力端子 光デジタル×3、同軸デジタル×4、D端子×1、コンポーネント×4、S映像×5、コンポジット×5、USB、iPodドック(オプション)接続I/Fなど
外形寸法 435(幅)×430(奥行き)×182(高さ)ミリ
重量 17キロ 16キロ 14.7キロ
価格 23万3100円 17万8500円 12万750円
発売日 10月上旬
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