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テレビ内蔵の“全録”が新しい世界を拓く REGZA「ZG2シリーズ」麻倉怜士が見た!(1/3 ページ)

» 2011年06月24日 15時21分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

すべてのチャンネルを一定の期間、常時録画し続ける「全録」。高価な機材でしか実現できないというのは少し前の話で、いまや普通の液晶テレビに全録機能が搭載されるようになった。自ら“全録”という言葉を提唱し、実践し続けてきたAV評論家・麻倉怜士氏に、最も身近な全録マシン、東芝“REGZA”の「ZG2」シリーズについて解説してもらった。

――麻倉さんは全録歴が長いそうですね

麻倉氏: 私はPTPの「SPIDER」(スパイダー)に出会って以来ですから、4年ほどになります。日常的に使っていますが、やはり録りためた番組からさまざまなシーンを検索できるのはたいへん便利ですね。これからのテレビライフは、放送に限らず、ネットワークなどさまざまなメディアでコンテンツが届きます。それらを蓄積しておくと、後からさまざまな活用ができると実感しています。

“全録”を提唱してきた麻倉氏と2つの全録マシン。PTPの「SPIDER ZERO」(左)と東芝“REGZA”のZG2シリーズ(右)

 エアチェックの歴史を振り返ってみると、全録は、テレビ録画における第3の革命といえます。1975年以前にはテレビを家庭で録画することはできませんでした。1970年に登場したU-maticがあるにはありましたが、実際に家庭に普及し始めるのはβとVHSが出てきてからです。そのとき、ソニー創業者の盛田昭夫さんが提唱したのが、“タイムシフト”という概念でした。時間を変えて放送を見るという、今に続く革命的なコンセプトでした。これが第1の革命です。わたしの家に来た人は大抵、数千巻ものVHSテープが並んでいるのを見て驚きますが、まだ捨てられませんね。

 次の革新は、2000年前後に登場したディスクメディア記録です。従来のテープは、直線方向で記録するため、頭出しが不可能でした。しかし、1999年にNEC、2000年にパイオニアが発売したDVD-Rレコーダー(NECは非DVD)では、ディスクの上を並行してピックアップが動くため、どこにでも瞬時に移動できました。テープは再生個所を移動するために時間が必要ですが、今度は巻き戻す必要がなく、見たい番組が瞬時に出てくる。これは、メディア生活における最大の革命だったと思います。

 その次にわたしを驚かせたのが、冒頭の「SPIDER」です。こちらはアナログチューナーですが、HDDの高速な書き込み/読み出しを生かし、大容量ストレージに6局/1週間もの番組を貯め込むことができます。完ぺきに録り逃しがなく、ネット情報をもとに調べ、再生することもできる。テープによる“録画革命”、ディスク記録の“頭出し革命”に続く、第3の全録革命といえます。

 技術革新により、いよいよデジタルの“全録マシン”が普及価格帯に入ってきました。東芝が発売した“REGZA”ZG2シリーズは、地デジ9チューナーと2TバイトのHDDを搭載した全録マシンです。テレビを進化させ、録画を生活の一部とする試みとしてたいへん注目されます。

ZG2シリーズは42V型、47V型、55V型の3サイズ。搭載チューナーは、地上デジタルが9つ、BSデジタル/CS110度が2つ。このうちタイムシフトマシンで常時録画するのは地デジのみ最大6チャンネルとなる。チューナーの数が多いのは、タイムシフトマシン録画を実行しながら、通常の録画予約を使って2番組の録画しつつ、さらに裏番組をリアルタイム視聴するという使い勝手を実現するためだ

――全録はライフスタイルを変えると良く言われます。具体的にどう変わるのでしょう

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