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テレビ内蔵の“全録”が新しい世界を拓く REGZA「ZG2シリーズ」麻倉怜士が見た!(3/3 ページ)

» 2011年06月24日 15時21分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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ZG2シリーズにプラスしたいもの

――ZG2シリーズに足りない部分、追加してほしい機能はありますか?

麻倉氏: ZG2シリーズは発売以来とても人気があって、東芝によると想定の倍以上のペースで販売されているそうです。これは、潜在的にユーザーが望んでいたことをかなえた製品だからだと思います。もちろん「CELL REGZA」でも可能でしたが、あれは超高級機でなかなか手は出せませんでした。今回、普及価格のZG2シリーズが販売された意味は大きいと思います。

 注文をつけるなら、やはり全録の対象が地上デジタル放送に限られるという部分ですね。スカパー!HDとまではいいませんが、少なくともBSデジタル放送は対象にしてほしいです。今、NHKのBSが再編されて2波体制になり、中でも「BSプレミアム」で放送している「極上美の饗宴」は面白いです。第1回のテーマはフェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」でした。この絵が人々を魅了するのは、目とイヤリングに白ピークを持っているためで、まるで写真の時代を先取りしたような光の表現が使われていたのです。テレビなら、さしずめローカルディミングですね。BSプレミアムには、こうした内容が濃い番組がたくさんあるので、多くの人に見ていただきたいと思います。

 それから、技術的に実現してほしいのは、MPEG-4 AVCによる圧縮録画です。放送そのままの画質で録れるのはありがたいのですが、内容だけチェックしたいという番組も多いはずですから、圧縮によって録画時間(全録できている時間)が増えると便利でしょう。現在のBDレコーダーは15倍といった製品もあります。SDの時代と違い、ハイビジョンでは解像度を維持したまま圧縮すると、かなり使えます。今後、普及していくためにも、より長時間の録画が行えるタイプはほしいですね。また、簡単に残したいというニーズに応え、BDドライブも内蔵してほしいです。

タイムシフトマシンでは、HDD容量が少なくなると古い番組から削除されていくが、残しておきたい番組は通常録画用のディスクスペースや外付けHDDにムーブできる。レグザブルーレイを使えば、残して起きたい番組をレグザリンクダビング(LDNA/DTCP-IP)でBD-R/BD-REに保存できる。もちろんダビング先のディスク容量に合わせて圧縮率を変える「ぴったりダビング」にも対応している

 いずれにしても、全録テレビを手に入れると、テレビライフそのものが変革され、さらにテレビが楽しくなることは間違いありません。放送局側にしても、番組に出会うチャンスが拡がるということは、せっかく作った番組を見てもらうチャンスが増えるわけです。

 今後は通信を活用して、新しい切り口のサービスも生まれるでしょう。例えばNHKの技研公開で見た「ハイブリッドキャスト」は、通信を活用してマルチアングルのスポーツ中継放送など、放送と通信の連携で利便性や楽しみ方を多彩にするものでした。全録は番組を蓄積しておくものですから、相乗効果が期待できます。非常に将来が楽しみですね。

 以前、東芝の本村さんにお話を伺ったとき、興味深いことをおっしゃっていました。タイムシフトマシンは日本流のスマートテレビというのです。今、スマートテレビという言葉はさまざまな解釈がありますが、スマートフォンと同じことをやっても仕方ない。それより放送番組を蓄積して、ネットワークを使ってリコメンドしていくことが、テレビに求められるスマートさではないか。CELL REGZAに始まる全録マシンを「日本型スマートテレビの原型になるもの」と位置づけているそうです。なるほど、テレビのスマート化という流れの中でも、全録とREGZAには注目していきましょう。

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