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鳥肌が立つくらい濃密なヴォーカル! AKGの新境地「K3003」野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(1/2 ページ)

» 2011年09月06日 23時32分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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 ヘッドフォンからテレビ、ホームシアターまで、さまざまなジャンルの数多あるAV系新製品のなかから注目の新製品をピックアップし、いち早いレビューをお送りしていく「野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review」。今回は9月6日に発表されたばかりの超高級カナル型イヤフォン、AKG「K3003」のレビュー記事をいち早くお届けしよう。

AKG「K3003」。マイク内蔵インラインリモコン付きの「K3003i」もラインアップしている

 K3003の存在を初めて知ったとき、正直いって驚いた。なぜなら、あのAKGから発売される新フラッグシップ(と呼べる超高級モデル)が、ヘッドフォンでなく、カナル型イヤフォンだったからだ。

 もちろん、AKGにだってカナル型イヤフォンは存在する。現在も、クインシー・ジョーンズモデルを筆頭に、コンシューマー向けだけでも6タイプの製品をラインアップする充実ぶりだ。とはいえ、これまでのAKGが、こと高級モデルに関してはヘッドフォンを中心に展開してきたのも事実。カナル型イヤフォンについては、1万円超をトップとする、ミドルクラスまでの展開にとどまっていた(過去にK370というモデルがあったがそれでも実売2万円クラスだ)。

 そこでいきなりの超高級モデルの誕生である。しかも、実売14万円前後という、とてつもないプライスタグを引っさげての登場だ。14万円といえば、AKGの高級ヘッドフォン「Q701」が2台買えてしまう価格。カナル型イヤフォンの世界では、カスタムイヤータイプやファイナルオーディオデザインなど、マニアックな製品しか存在しないような、孤高の領域である。このような世界にいきなり新製品を投入したのは、いかなる意図があってのことだろうか。

 それを知るべく、まずは製品の詳細について見ていこう。

ハウジングはステンレス製

 K3003は、AKGにとってカナル型イヤフォンの高級モデルだけに、独自の技術や厳選されたマテリアルが使用されているが、最大の特長といえば、やはり“3ウェイ・ハイブリッド・テクノロジー”だろう。こちらは、中域用と高域用にバランスドアーマチュア型ドライバーを1つずつ、低域用にダイナミック型ドライバーを採用、それぞれの良さを生かしてサウンドを作り上げるというもの。こういった異種ドライバーの“ハイブリッド”は、筆者の知る限り他社製品で2ウェイモデルは存在したはずだが、3ウェイモデルはこれが始めてのはず(カスタムイヤーでは3ウェイ5ドライバーというモデルがある)。その分レイアウトがかなり複雑になっており、結果としてどういったサウンドがつむぎあげられているのか、がぜん興味がひかれるところだ。

 ほかにもハウジングやコネクター類にステンレスをチョイスしたり、ケーブルに布+ラバー皮膜を採用するなど、素材についてはかなりのこだわりが見られる。また3タイプのメカニカルチューニングフィルターを用意、好みによってサウンドバランスを変化できる点なども、高級モデルならではの配慮だろう。

ユーザビリティーチェック

 ケーブルに関しては、いま流行の取り外し可能なタイプでなく、一体式となっている。この価格帯の製品であれば誰もが長期間使い続けるだろうから、本体の比べると耐久性の低いケーブルに対するフォローは欲しいところ。自分でケーブル交換はできずとも、修理等での対応に期待したい。

 ちなみにこのケーブル、細かな部分まで見ていくと、ステレオミニプラグにピンクゴールド(と思われる)メッキが施されていたり、芯線に高純度のOFC素材を採用していたりと、クオリティーにはかなりこだわっている様子。高級モデルとしては当たり前の配慮かもしれないが、なかなかうれしい部分でもある。

 なお、K3003にはiPhone用リモコン付きのK3003iと、リモコンなしのK3003の2つがラインアップされている。今回はK3003を試用したが、この価格帯では、音質にとことんこだわる人も多いはず。リモコンの有無が音質を左右することもあるため、リモコンなしが用意されているのはありがたい。

ケーブルに絡みにくい布+ラバー皮膜を採用。Yコネクターもステンレス製

 一方、付属品については、アクセサリー山盛りとはいかないものの、それなりに充実した内容を持つ。シリコン製のイヤーチップは、耳側と本体側(内側)で硬度を変え、密着性を高めるタイプを採用。サイズはS、M、Lの3つが付属する。このほか航空機用の変換プラグやレザー調のキャリングケースなども、高級モデルにふさわしい上質感にこだわっている様子が伺える。

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