音質に関しては、前回のTW-D7OPTレビューでこのスピーカーの実力の高さは充分承知しているつもりだったが、その表現力の巧みさ、多彩さには改めて感心した。そのサイズからは想像できない、ダイナミックなサウンドを聴かせてくれるのだ。最低域までしっかり伸びている帯域特性の優秀さもあるのだろう、音楽が躍動的で、グループ感がとても高い。また解像度感の高さ、音のクリアさも小型スピーカーとしてはなかなかのレベル。特に中域の重奏感や、人の声の通りのよさは、そのサイズを忘れてしまうほどだ。
しかし本当に驚いたのは、iPhone/iPod用TW-D7IPの音のよさだ。実は前回、TW-D7OPTを試聴した経験と、ウォークマン(ちなみに今回の試聴に使ったのはX1000シリーズ)の音質のよさから、TW-D7WMの音が良さそうだとは試聴前にある程度は予測できており、実際のサウンドもそれに近いものだった。しかしTW-D7IPは、意外といっては失礼だが、TW-D7WM以上に解像度感が高く、アナログ接続とは思えないほどピュアなサウンドを聴かせてくれたのだ。
これは多分に、システムまわりに関連していると思われる。オラソニックによれば、外観は同じでも内部回路は継続して改善を行っているとのこと。そうした地道な努力が音に現れたと解釈できる。
USBオーディオデバイスとして(PCの音源を再生)聴き比べると分かるのだが、両者は微妙にサウンド傾向が異なる。どちらかといえばシルキーで丁寧な表現のTW-D7WMに対し、TW-D7IPもう少しダイナミックレンジの幅が広い、骨格のしっかりしたサウンド傾向を持つ。
両者の差はあくまでも好みの範囲で、それほど大きなものではない。しかし、ウォークマンとiPodというプレーヤーの音質差を考えれば、TW-D7WMと同等以上のクオリティーをもつTW-D7IPを素直に褒めるべきだろう。
とはいえ、TW-D7WMもウォークマン用という貴重かつ良質なサウンドを楽しめるシステムであることは事実。両方のプレーヤーを所有している筆者にとって、どちらを手元に置くべきか、大いに悩むところだ。
音質評価 | TW-D7IP(iPod用) | TW-D7WM(ウォークマン用) |
---|---|---|
解像度感 | (粗い−−−○−きめ細かい) | (粗い−−○−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−○−−ワイド) | (ナロー−−○−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−−○−フラット) | (低域強調−−−○−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−−○−質感重視) | (迫力重視−−−○−質感重視) |
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