北米市場で“プレミアムテレビ”としてのブランド力向上に力を入れるシャープ。「2012 International CES」の同社ブースでは、80V型を含む直近の新製品に加え、2つの参考展示で技術力をアピールしている。
CESでは例年、LGやSamsungといった韓国勢と向かい合うようにブースを構え、正面に大画面TVを大量に並べて競い合うといったスタイルが多かったシャープ。今回は若干のレイアウト変更もあり、パナソニックや東芝と隣接するような形となった。そんな同社の目玉は、「ICC-4K LED TV」(LEDバックライト搭載の4K液晶テレビ)と「85インチ8K LCD」の2つ。これを中心に新製品や新ソリューションをアピールする構成となっていた。
まず目玉のICC-4K LED TVでは、i3(アイキューブド)研究所の開発したICC技術をベースに、4K2Kパネル上にフルHDソースの映像を画質補完した形で、より自然で立体感ある形で画像表示を可能にするデモが行われていた。筆者が初めてICC-4Kの映像を見たのは昨秋にベルリンで行われた「IFA 2011」だが、続いて日本の幕張メッセで実施されたCEATECにおいては、ICC-4Kと通常のフルHDパネルを並べ、同じ映像ソースでどれだけ表現力に差が出るのかを体験するデモが一般にも公開された。
今回の展示内容はCEATECとほぼ同じで、同サイズのICC-4KとフルHDパネルを並べ、その違いを体験するデモが実施されている。さらに暗室でその違いをじっくり体験するための専用コーナーも用意され、ここには多くの来場者が待ち行列を作っている様子が見られた。なお、この4Kテレビは、2012年中に商用製品として市場投入が予定されていることが発表されている。
ICC-4Kの体験コーナーの隣接エリアには、「AQUOS Board」が複数展示され、待ち行列の人々の目を奪っていた。これはWindows 7を搭載した80インチサイズの大画面テレビと呼べるもので、会議室などに設置されるPC画面プロジェクターとホワイトボードの中間的な役割を持つ製品となる。プレゼンテーションやファイル再生、ビデオ会議などのアプリケーションがそのまま利用できるほか、タッチスクリーン端末としてホワイトボード的な使い方も可能で、用途としてはビジネスやショウルーム等でのディスプレイ用途、そして教育現場などでの利用を想定しているという。日本のみ「Big Pad」の名称で展開されることになるが、海外で「AQUOS Board」となった理由は、AQUOSブランドの訴求に加え、“Pad”という響きによりタブレット端末と混同されることを避けたとみられる。
そして今回のCESで2つめの目玉展示となるのが85V型の「8K LCD」だ。国内ではスーパーハイビジョン(SHV)対応ディスプレイとしてNHKとシャープが共同発表を行っており、昨年10月のCEATECで一般にも公開された。今回はこれをCESで初めて公開した形となる。
SHVは、通常のフルHDの16倍の解像度にあたり、これにSHV映像ソースを組み合わせると、「2Dなのに、立体的」という、従来にない映像体験が得られる。展示の説明員によると、「間もなくICC-4Kが市場投入されて4Kの世界が到来するが、この8Kはさらにそれに続く明日の技術という位置付け」という。
またブースの中央部では、今後数カ月以内に北米市場に投入される60インチクラス以上のテレビ新製品を大量展示。将来の技術ではなく、間もなく手に入る身近な製品としてのテレビも訴求している。とくに80インチクラスの大画面液晶テレビは、商用製品としてはライバル他社に先駆けて投入されるもの。「他社の80インチ製品がデモ展示にとどまるなか、シャープの製品は市場投入目前の本当の意味で“リアル”な製品だ」と、その違いをアピールした。
また、デモ展示ではhuluplus/NetflixといったSmartCentralによる一連のネットワーク接続機能のほか、北米市場では他社との差別化ポイントとなっている購入者オンラインサポート機能「AQUOS Advantage Live」の紹介も行われていた。とくに後者のAQUOS Advantage Liveについては現地での関心も高い。日本でもぜひ展開してほしいところだ。
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