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AVアンプでハイレゾ再生、ソニー「TA-DA5800ES」のすごいコダワリを聞くES型番のハンダあります(2/3 ページ)

» 2012年11月27日 22時04分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

接点にもこだわったネットワークハブ

 先々代にあたる「TA-DA5600ES」から、ソニーの上位モデルは背面に4ポートスイッチングハブを搭載している。狙いは「ネットワークオーディオの音質アップ」だ。音源ファイルを格納したNAS(ネットワークHDD)は、ホームネットワーク内に配置するより、プレーヤー(AVアンプ)にLANケーブルで直接接続するほうが音が良い。また、4ポートのうち、使用していないポートについては、回路の動作を個別に停止させる「LANポート・アクティベーション」機能を備えた。

背面に4ポートのスイッチングハブを装備。Gigabitではなく、あえて100BASE-T仕様になっているのも音を聞き比べて選択した結果だという(左)。各ポートのオン/オフは明示的に設定できる(右)

 「LANポートにはアンプ(増幅回路)が入っていて、信号がないとノイズを増幅してしまう。一番いけないのは、リンクが確立していて通信を行っていない状態。通信する機器を探して動き(ブロードキャストパケット)、隣接するポートのPLLまで動いてしまう」(金井氏)。設定メニューから各ポートのオン/オフを設定すれば、余計な動きはなくなる。ちなみにNAS接続に適したポートは3番で、WANにつなぐのは1番がオススメだという。

 こうした細かい気配りは、ハブに組み込まれたLANのコネクターにも及ぶ。「最近のPCパーツは低コスト化が進み、コネクターの接点が簡素化されています。新しいパーツには接点を支える台座の働きをするパーツが省かれ、ケーブルを挿したときにがっちりと固定できない。聞き比べると音質の劣化は明らかです」。

 とはいえ、PC関連のパーツは主流になれば価格も下がるが、動きが激しいため古い仕様のパーツを入手するのはけっこう難しい。「メーカーに問い合わせたところ、大量購入なら確保できることが分かりました。当初は『100万個買ってくれ』といわれたのですが、さすがに無理。結局、48万個を購入しました。AVアンプ何年分か分かりませんが、当分は困りません」と金井氏は笑う。

LANポートの接点パーツ。黒い方がAVアンプに採用されたもの、緑のものは最近の簡素化されたパーツだ。見比べると作りの違いに驚く

 前述のように、TA-DA5800ESのネットワークオーディオ機能では最大192kHz/24bit、5.1chまでのWAVとFLACを再生できる。同じ回路を使うフロントUSB端子も同じだ。そのコアとなる基板には専用のネットワークエンジンが搭載され、大型ヒートシンクと冷却ファンを備えている。ただし、冷却ファンはあくまでも「非常用」で、金井氏自身「ずっと使っているが、動くことは見たことがない」という。もちろん実際には冷却ファンが動く必要のないようにヒートシンクを大型にしたというのが正解だろう。

ネットワーク基板「高音質ハブ型高速ネットワークエンジン」。同時発表の「STR-DN2030」にも同じ基板を搭載しており、違いはヒートシンクのサイズと緊急用ファンの有無、そして低ジッター水晶発振器の有無となっている

 例えば、音源配信サイトの「e-onkyo music」では、5.1chのマルチチャンネル音楽としてドルビーTrueHDとWAV(PCM)を用意している。このうちDolby True HDはオンキヨー製AVアンプで再生できるが、マルチチャンネルのWAVが再生できる機器はあまりない。現状ではソニーのAVアンプを使用するのが最も手軽かつ低コストだ。コンテンツ数はまだまだ少ないものの、今後の展開に期待したい分野でもある。

「ソニーのAVアンプ史上、もっとも美しいGUI」(金井氏)。フォントまで専用に作成したという(左)。ネットワーク再生中の画面(右)

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