東芝は5月28日、かねてより予告していた新しい4Kテレビ3機種を発表した。「Z8X」というシリーズ名称で、58V型、65V型、84V型をラインアップ。レグザの上位モデル“Zシリーズ”の新製品という位置付けだ。
これまでREGZA(レグザ)の4K対応機には“X”型番を付けるのが慣例だったが、今回はあくまで“Z”。「X型番は、東芝の方向性を示す革新的な製品という意味。しかし、4Kテレビはすでに特別なものではない。普通の方々がリビングルームで楽しむテレビ」という。なお、末尾の“X”は、便宜上4Kパネルを採用した製品であることを示している。
4K対応“Z”が誕生した背景には、50V型を超える大画面テレビの市場拡大がある。現在のフルハイビジョン(1920×1080ピクセル)は、もともと50インチを上限に考えられたもの。例えば84V型まで大きくなると、画面面積は50V型の約3倍(288%)となり、画素サイズが大きくなり、粗さが目立ってくる。しかし84V型でも4Kパネルにすれば、画素サイズは50V型フルHDの約72%と、さらに緻密(ちみつ)な表現が可能になるという。
もちろん、4Kのネイティブコンテンツがほとんど存在しない現状では、Blu-ray Discやデジタル放送といったフルHD以下のコンテンツをアップコンバートすることが前提。このため、超解像技術のような映像処理技術を駆使する必要がある。
早くから4Kに取り組んでいた東芝は、昨年から映像エンジンとして「REGZA ENGINE CEVO 4K」を展開しているが、今回は4Kパネルおよびその駆動技術なども合わせ、トータルに映像を改善する「シネマ4Kシステム」を提案する。
「いままではBD(フルHD)を美しい4K映像にすると言っていたが、今回からはデジタル放送もクリアに表現する。もちろんBD映画は今まで以上に高精細。さらに将来の4Kコンテンツも想定して開発した」。
4K超解像技術も進化した。映像をテクスチャー部、エッジ部、平たん部に分けてそれぞれに特化した処理を行う「微細テクスチャー復元」、画像を光沢成分と物体色成分に分けて処理することで“輝き”(光沢)を再合成する「輝き復元」といった技術に加え、再構成型超解像技術ではピクセルごとに処理レベルを変えることが可能になったという。
従来の4K超解像では、わざとボカしたはずの背景にも処理がかかり、ぎらつきなどの原因になっていたが、ピクセルごとに処理を変えることで、手前の物体と背景で異なるレベルの超解像処理が行える。精細感を向上させながら、背景のボケも生かせる仕組みだ。
デジタル放送視聴時のネックも解消した。超解像処理を欠ける際、ブロックノイズやモスキートノイズがあると、ノイズまで強調されてしまうことがあったが、映像のエッジ部/平たん部の特長を検出し、デジタル放送のノイズを除去してから超解像処理をかける順序にした。「映像全体の鮮明さと文字の視認性向上を同時に実現した」という。
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