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「音茶楽 × Olasonic」、ソニーOB同士のつながりから生まれたイヤフォン(1/3 ページ)

» 2013年08月07日 14時38分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 東和電子と音茶楽(おちゃらく)がコラボレーションして“ダブルブランド”のカナル型イヤフォン「TH-F4N」を発表した。マニア層の支持は多いが決して知名度は高くない音茶楽とオラソニックがコラボレーションした理由は何か。そしてTH-F4Nは何が違うのか。東和電子の山本喜則社長に話を聞いた。

「音茶楽×Olasonic」の「TH-F4N」。音茶楽側の製品名は「Flat4-ナミ」(ナミはさんずいに寿)となる。価格はオープンプライスで、店頭では4万8800円前後になる見込み

 コラボのきっかけは、音茶楽の山岸亮社長と東和電子の山本社長がいずれもソニーのOBであることだ。山岸氏は、ヘッドフォンやスピーカーの開発を担当するエンジニアで、ソニー時代に「ニアフィールドスピーカー」(通称カネゴン)や「パーソナルフィールドスピーカー」(PFR-V1)などユニークな製品を手がけた(→2007年のインタビュー記事)。そして当時、ソニーのオーディオ事業本部長を務めていたのが山本氏。つまり面白いモノを作り出すエンジニアと、それにゴーサインを出す上司という間柄だったわけだ。

「パーソナルフィールドスピーカー」を持つ山岸氏(左、2007年のインタビューより)。東和電子の山本社長(右)

 山岸氏は2009年にソニーを離れ、翌年、小田急線経堂駅近くに趣味の中国茶(紅茶も)とイヤフォンの専門店を開く。新たに開発した「ツイン・イコライズド・エレメント方式」(後述)で特許を取得し、「音茶楽」ブランドのイヤフォンを展開。現在の販路は自社店舗とフジヤエービックのみとあって認知度は高くないが、イヤフォン好きにとっては注目すべきガレージメーカーの1つとなっている。

お茶の缶にインスパイアされたパッケージ。ブランド名や製品パッケージからお茶とイヤフォンに対する思い入れが伺える

 一方、「Olasonic」という自社ブランドを立ち上げた東和電子は、第1弾製品となる卵形スピーカーを発売する際、一般ユーザーが試聴できる場所を求めていた。そこで手を挙げてくれたのが山岸氏だ。このため、現在も「音茶楽」の店舗にはOlasonicの「TW-D7シリーズ」が置かれているという。

 「音茶楽はメジャーとはいえませんが、ヘッドフォン祭などに集まる“好きな人たち”からは高く評価されています。以前から何かコラボレーションできないかと話していて、形になったのが今回のイヤフォン」と山本氏は話す。ベースとなったのは、音茶楽が5月の「ヘッドフォン祭」に合わせてリリースした「Flat4-玄(KURO)」。既にレビュー記事も掲載しているが、ダイナミック型ユニットを対向配置して間をパイプでつなぐという構造と、その構造が想像できる独特の外観が目を引く。


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