ITmedia NEWS >

「音茶楽 × Olasonic」、ソニーOB同士のつながりから生まれたイヤフォン(2/3 ページ)

» 2013年08月07日 14時38分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 「このツイン・イコライズド・エレメント方式は、カナル型イヤフォン特有の“閉管共振”によるキツイ音を補正する技術です。外耳道は片側が鼓膜でふさがれた管となり、λ/4、3λ/4で気柱共鳴が発生します。これが閉管共振といわれるもの。外耳道は一般に25ミリから30ミリほどの長さのため、3kHzおよび10kHz前後の周波数が共振によって音圧が上がる傾向にあります。カナル型イヤフォンで、“さしすせそ”が強調されたキツイ高音があるといわれる理由はこれです」。


 この閉管共振によるキツイ高音を抑えるため、一般的なカナル型イヤフォンでは、音の通り道に“音響抵抗”を設けることが多い。しかし、音響抵抗では高い周波数ほど影響を受けて減衰してしまうため、6kHz付近の共振が抑えられる一方で音楽再生に重要な10kHz前後の音域も大きく減衰してしまう。「このため、ある程度のところでバランスを取る必要があります。Shureなどの高級モデルには、自分でアコースティックフィルター(音響抵抗)を付け替えて調整できる製品も存在します」(山本氏)。それもユーザーの好みで減衰のバランスをとるためだ。

音響抵抗を設けると、音楽再生に重要な10kHz前後の音域も大きく減衰してしまう

 一方、音茶楽の「ツイン・イコライズド・エレメント方式」は、その音響抵抗を不要にできるのが大きなメリットだと山本氏は指摘する。Flat4-玄(KURO)は、10ミリ径ダイナミック型ユニットを互いに背面を向けて対向配置し、ハウジングの上に位相補正パイプを設けているが、これによって振動系の反作用による不要振動を抑えると同時に、6kHz前後の不要な共振が抑制されるからだ。

 「重要なのは、この方式であれば音響抵抗のように10kHz以上の音域を損なわず、6kHz前後の共振だけを抑えられるということ。クリアな音が楽しめるわけです」(山本氏)。

 また、10ミリ径ユニットを2つ使うことで、13.5ミリ相当の大口径ユニットに匹敵する振動板面積を確保できるのも大きい。もともと低域に強いダイナミック型で13.5ミリ径相当といえばかなりのもの。「重低音の領域も余裕でドライブできます」。

 もっとも、ここまでは音茶楽の技術の解説だ。では、オラソニックは何を加え、何を引いたのだろうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.