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「音茶楽 × Olasonic」、ソニーOB同士のつながりから生まれたイヤフォン(3/3 ページ)

» 2013年08月07日 14時38分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 山本氏によると、「構造や仕組みなど基本設計に関しては全く変えていません。異なるのは、センターキャビネットと位相補正パイプ内の防振処理のみ。金属パイプなので固有の共振周波数があり、それを消す処理が施されていますが、その“度合い”を変えています」。具体的には、センターキャビネットに制振効果のあるM2052制振合金粉体塗料により防振処理を行い、併せて位相補正チューブにも防振塗装を施している。

 共同開発といっても、音茶楽の製品は既に完成されたもの。東和電子は生産を担当する工場に対してチューニングの方法を提案し、量産の可否を確認する作業が主だったようだ。「開発時にはさまざまなことができますが、量産となると話は違います。できあがった製品を聴き、注文を付けてまた送り返す。このやりとりを繰り返して開発期間が半年延びました。本当はFlat4-玄(KURO)と同時期に出すつもりだったんですが」。

 今回は横並びの音質比較はできなかったが、山本氏によるとFlat4-玄(KURO)と「TH-F4N」では、明らかに音の雰囲気が異なるという。「オリジナルのFlat4-玄は、くっきり/はっきりタイプ。対してTH-F4Nは少しマイルドな表情で、ちょうどスピーカーで音楽を聴いているようなイメージにしています。もっとも周波数特性のグラフを比較しても違いはでないでしょう。人間の耳は計測器より、ずっと繊細ですから」(山本氏)。

「NANO COMPO」と「TH-F4N」

 ちなみに、東和電子でチューニングを担当したのは、「NANO-UA1」や「NANO-D1」を設計したエンジニアだという。それだけに「NANO COMPO」との相性は良さそうだ。

 「われわれの目的は、オーディオ機器の性能が上がったとき、それに応えられるヘッドフォンを出すこと。実際、販売店に持っていくとかなり好意的です」。

 上記のように、これまで音茶楽の販路は極めて限られていた。しかし、今回は音茶楽とフジヤエービックの店舗に加え、ヨドバシカメラやビックカメラといった量販店、そしてAmazon.co.jpでも扱う予定になっている。「今まで音茶楽の製品を試聴できなかった地域の方々にもお店で聴いてもらえます」(山本氏)。

 ただ、販売店の評価が高かったため注文数が膨らみ、出荷前に工場で“作り溜め”する必要が生じた。このため発売時期は10月上旬に設定せざるを得なかったという。もっとも、ヘッドフォン祭など秋のオーディオイベントにはちょうどいいタイミングかもしれない。イヤフォン好きは期待して待とう。

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